「IMFからの警告、そしてこれから起きること、に関する考察」
2013年6月21日 17:43
*17:43JST 「IMFからの警告、そしてこれから起きること、に関する考察」
6月14日、国際通貨基金(IMF)は米金融当局が毎月の大規模な債券購入を少なく
とも年末までは継続するとの見通しを示した上で、金融市場の混乱を回避するために
出口計画を慎重に運営するよう求めていた。こうした警告にもかかわらず、FRBはつ
いに量的緩和策縮小にむけてうごきはじめたのである。この時のIMFの“警告”は、
おそらく今後、米FRBによる量的緩和策縮小に伴い新興国で起こるであろうことへの
予見に基づくものではなかったか?と筆者は思うわけだ。
「新興国で、これから起こること」
20日の金融市場で起きたのことは量的緩和策縮小を見越したエグジット戦略であり、
それが端的に表れれたのが、ドルキャリートレードのアンワインドであった。19日の
FOMC後のバーナンキFRB議長の量的緩和策縮小可能性についての言及が、そのゴング
だったのである。何はともあれ、ひとまずは量的緩和策縮小にむけて動きだしたわけ
だ。その結果が、多くの新興国を含む諸国からのドルへの資金回帰の動きであったわ
けだ。そう今、まさに、投機資金の米国へのドルの還流が始まったのであった。
こうした動きについては前哨戦があった。それが5月の連休明けの量的緩和策縮小観
測であった。この観測をきっかけに新興国市場はタイムラグをおいて動揺した。この
時はあくまでも、観測であり、(量的緩和の)縮小可能性でしかなかった。そして、
この米FRBによる量的緩和早期解除観測をきっかけとして起きたこと、とりわけ中国
を含む新興国で起きたこと、それは急激な信用収縮であり、それに伴う新興国市場の
動揺であったし、その象徴的な出来事、それが中国の銀行のデフォルトであった。
先週、中国のエバーフライト銀行が、銀行間貸し出しでデフォルトしたのである。今
回の、このデフォルトは、銀行間金利SHIBORが急騰した結果であったが、この短期金
利の上昇は、米FRBの量的緩和早期終了観測がきっかけになったものであった。これ
を受け6月第一週だけで海外ファンドの資本流出が2008年上旬以来最高額に達したの
だから、短期金融市場が混乱し、金利急騰するのは明白であった。
しかし、この時に起きたことは、5月から発せられた量的緩和早期解除という“口先
観測程度”なものに対してのものであった。今度、起きること、それは本格的なドル
をベースとした運用資金の米国への回帰なのである。
その意味することは、これまで以上の新興国の動揺ということになるのだろう。
新興市場国で、今後起きることに注目が必要となりそうだ。《FA》