NYの視点:中国の金融危機懸念

2013年6月21日 07:38


*07:38JST NYの視点:中国の金融危機懸念

米連邦準備制度理事会(FRB)が現在のペースで景気回復が続けば資産購入規模を年内にも縮小する方針を示唆したことを受けて、今までチープマネーの恩恵を受けて上昇してきた資産市場の相場が急落した。ただ、資産市場の相場下落は米国の金融政策だけが要因ではない。本年に入ってささやかれてきた中国経済や金融への不安もそのひとつとなる。まず、英HSBCが発表した中国の6月製造業PMIは48.3と、9カ月ぶりの低水準となった。加えて、中国の短期金融市場が凍結していることも懸念材料となっている。20日の中国銀行間貸出金利は急騰。上海銀行間出し手金利(SHIBOR)の翌日物は13.44%と、前日の7.66%や前月の4%未満から大幅に上昇した。

中国人民銀行は通常、経済が難局に直面した際、資産価格の押し上げや過剰投資が加速するリスクを犯しても、市場に流動性を供給してきた。しかし、今回は信用の逼迫を放置していることから、政府が最近の不動産価格の高騰を受けて、むしろ流動性を逼迫させ、信用の成長を鈍化させる方針だと見られている。あるいは、「シャドウバンキング」を取り締まるための策だとの思惑もある。

中国の短期銀行間取引金利は過去2週間急伸し、完全に凍結状態。最悪のケースで政府の介入が無かった場合、短期の資金調達ができずに救済が必要になる銀行も最低で1行は出てくる。その損失が他の銀行にも波及し取り付け騒ぎが起こる危険性もあると警戒されている。市場関係者の見解では「中国金融市場の凍結状態は米国で言えばリーマンブラザーズ破綻直後の金融状況のようなものだ」という。動向から目を話せない。《KO》

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