IPO再開接近で直近IPO株が相場修復の「お助けマン」銘柄に浮上も=浅妻昭治
2013年6月11日 09:37
<マーケットセンサー>
「アベノミクス相場」が「アベコベミクス相場」に逆転する正念場に差し掛かっているようである。「アベノミクス」効果で、日経平均株価が、6900円高、大きな円高修正も続いたが、「異次元の金融緩和」と大見栄を切った黒田東彦日銀総裁も、「民間活力の爆発」とアドバルーンを上げた安倍晋三首相も、何だか空振り気配で、日経平均株価は、この急騰幅の半値近くを帳消しにし、為替相場もまた1ドル=90円台に逆戻りしてしまった。
黒田総裁は、「戦力の逐次投入はしない」と強調したプライドをかなぐり捨ててきょう11日まで開催される日銀の金融政策決定会合で、「異々次元金融緩和策」を打ち出せるか、安倍首相も、6月5日午後に満を持して発表した成長戦略の第3弾に続いて、なお第4弾、第5弾の成長戦略を温存していると示唆しない限り、相場格言通りに「半値押しは全値押し」の懸念も強まってくるからだ。
このままでは、株価上昇により盛り上がった資産効果は、高値で買い付いた投資家の逆資産効果の恨みもかって、7月の参議院選挙での自民党の圧勝シナリオも、消費税の引き上げ計画も、画餅に帰する可能性もある。ここからの相場修復、株価再上昇は、安倍首相も黒田総裁も兜町の投資家にとっても、共通の政策・投資課題に浮上してくる。政策効果の株価インパクトが弱くなっているなら、ここはマーケットに直接手をいれる株価対策などどんな手を使っても株価をとにかく持ち上げることが先決で、株価が戻りさえすれば、まだ資金的にプラスを維持している市場の追随買いを呼び込み、「アベノミクス相場」は再燃する可能性はある。
この先兵になるのは、どうしたってIPO(新規株式効果)株投資である。IPO株は、もともと「上値のシコリがなく値動きが軽い」ということをセールストークとしており、相場の調整期には逆に動意付く相場特性を発揮して、株式市場が「リスク・オフ」に傾くなか「リスク・オン」をリードする「お助けマン」的な役割を果たしきた。しかも今回は、4月25日以来中断されていたIPOが、6月11日公開のペプチドリ-ム<4887>(東マ)から1カ月半ぶりに再開されるのである。さらに6月26日にはiPS細胞の本命株とも目されるリプロセル<4978>(JQG)が上場され、もう一つ注目されているIPO株として7月3日のサントリー食品インターナショナル<2587>が、東証第1部か第2部か所属部はまだ未定だが、東証に新規上場されるのである。
これだけ役者が揃うIPO株である。IPO投資が盛り上がるのは必至で、逆に盛り上がりに欠けるようなら、相場格言の「半値押しは全値押し」の懸念はいっそう強まることが間違いない。果敢にIPO株投資に「リスク・オン」するか、IPO株人気から直近IPO株投資にチャレンジする投資スタンスが有効となるはずである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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