安倍政権、対ミャンマー政策の真の狙いとは?

2013年5月30日 18:09

 初めに、26日に行われた安倍晋三首相とミャンマーのテイン・セイン大統領の間で行われた首脳会談の経済と安全保証に関わる、安倍首相の要旨をみてみよう。

 経済強力について首相は、まず3つの分野について優先的にミャンマーの新たなる発展をサポートしていくと述べている。それは、国民の暮らしの向上、貧困の撲滅や、証券機構整備等のための人材の育成とそれらの社会制度の整備、そして高速通信網をはじめとしたインフラ整備だ。これに加えて、政府開発援助(ODA)910億円を今年度末までに行う考えを表明した。安全保障に関しては、北朝鮮に対して、拉致、核、ミサイル問題を解決することが非常に重要だとし、中国との関係では戦略的な協力関係の原点に立ち返ることが必要だとしている。また、これらの事案に対する対話のドアはいつも開いているとしている。経済協力について大統領は歓迎の意向を表明し、安全保障については理解を示したという。

 2012年11月、米国大統領による史上初のミャンマー訪問が、オバマ大統領によって行われた事は記憶に新しい。そして20日には、テイン・セイン大統領が訪米している。このふたつの出来事はミャンマーの11年3月の民政移管後いよいよ米国がミャンマー重視を強めつつあること象徴している。そして、安倍政権も、このオバマ大統領のスタイルを模倣して約40社の日本企業関係者を率いて訪問し、日本の実業界とミャンマーとのパイプを太くすることを目論んでいる。

 しかし、この大型支援だけが、今回のこの1977年、当時の福田首相以来36年ぶりの安倍首相のミャンマー訪問の目的ではない。地図を広げればわかるように、この国は地政学的にも重要拠点である。

 

軍事政権下のミャンマーに対する諸外国の経済制裁に同調せず、独自に経済協力を続けてきた中国。この中国のミャンマーへの経済的、政治的な影響力への抑止力として日本がミャンマーを支援していくという側面もまた、安倍首相は非常に重要視しているのは間違いないだろう。実際に現在、中国にとってミャンマーは東アジアにおける経済活動の中心のひとつである。これはミャンマーに対する直接投資額が、中国が1位であるという事実からもわかる。ミャンマーのインフラ整備を支援しながら中国はミャンマーの石油・ガスというエネルギー資源に目をつけていると推測される。

 このような視点から、今回の安倍首相のミャンマー訪問を考察することによって、より深く安倍政権の対ミャンマー政策を理解することが可能になるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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