魚の国、ニッポンを取り戻そう

2013年5月26日 18:31

 魚の国、ニッポンを取り戻そう。国をあげて魚の消費拡大プロジェクトが動き始めている。背景には海洋国日本の食卓がいつの間にか「魚」から「肉」にシフトされてきた危機感がある。

 厚生労働省の国民栄養調査や国民健康・栄養調査で肉類と魚介類の国民1人1日あたりの摂取量は平成12年を100として、平成22年には肉類は105(78.2グラムから82.5グラムに4.3グラム増加)に伸びたのに、魚介類は79(92グラムから72.5グラムに19.5グラム減少)に大幅減少していた。

 農林水産省はこのまま推移すれば魚介類の年間消費量は1人あたり平成22年(29.5キログラム)に比べ、平成34年には6.2キロ少ない23.3キログラムにまで減少すると予測している。このため、少なくとも22年並みの消費が望ましいとして、減少に歯止めをかける取り組みを始めた。

 その行動計画を立案したり、決める会議が水産業界やフードサービス業界、主婦連合会、消費者団体関係者らでつくる「魚の国のしあわせ」推進会議だ。昨年7月に初会合を開き、魚食普及にむけた取り組みを決めた。そして、今月31日に第2回会合を水産庁で開き、今年度の行動計画を決める。

 水産庁によると魚介類の国内流通消費量は10年間で20%減少した。背景には全ての年齢層での肉へのシフトがある。中でも40代男性や15歳から19歳の食べ盛り年齢(男女)では肉への移行が顕著になっていることが裏付けられていた。

 魚の消費量が減った背景には肉へのシフト以外にも、生ゴミの処理が大変、買い置きが難しい、骨があるから食べにくい、子どもが好まない、調理方法が分からない。和風の料理法が多いなどが指摘されている。このため。こうした課題を解決する情報提供や魚介類の魅力アピールを展開する必要があり、手軽・気軽に美味しく水産物を食べる方法やそれを可能にする商品の開発など、消費拡大につながる一層の取り組みが求めれている。

 日本は世界有数の漁場エリア(太平洋西部北)に位置しており、太平洋西部北の漁業生産量は世界の生産量の23%(2009年)を占めている。この恵まれた環境を生かした生活スタイルを国民のひとりひとりが考え、「魚の国のしあわせ」に思いを寄せる日があっても良いのではないか。暑い日が続くと「海」が恋しくなる。毎年7月第3月曜日は海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う「海の日」だが、この日を日本の食卓の「魚の日」としてもいいのではないか。「海とそこにある命に感謝する1日」であってもいいのではと思う。(編集担当:森高龍二)

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