川崎重工、イプシロンロケット試験機用フェアリングを出荷

2013年5月23日 17:38

 川崎重工業は23日、イプシロンロケット試験機用フェアリングを、同社岐阜工場(岐阜県各務原市)での設計・部品製造を経て播磨工場(兵庫県播磨町)にて組立後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)内之浦宇宙空間観測所に向けて出荷したと発表した。同フェアリングは、内之浦宇宙空間観測所でイプシロンロケット試験機に組み込まれる。なお、同ロケットは、JAXAが中心となって開発した惑星分光観測衛星(SPRINT-A)を搭載する予定で、8月22日の打ち上げに向けて準備作業が進められている。

 フェアリングは衛星を格納する部分で、ロケット先端部に取り付けられ、打ち上げ時の空気抵抗、空力加熱、音響(振動)などの過酷な環境から衛星を保護するためのもの。これは大気圏外に達した後に左右に2分割して衛星を分離する。

 今回出荷したフェアリングは、イプシロンロケット用に開発した直径2.5m、長さ9.2mのクラムシェル型のフェアリング。同フェアリングは、内部に格納された衛星などにアクセスするドアの開閉作業を容易にすることにより、打ち上げ前の衛星へのアクセス可能時間を拡大させるなど、ユーザーフレンドリネスおよび運用性を向上させている。また、コーン・シリンダ半殻一体構造や水没性パネル、貼付式断熱材を採用することで、打ち上げ費用の低減に寄与している。

 川崎重工は、1993年にH-Ⅱロケット向けにフェアリングを納入したのを皮切りに、H-Ⅱロケット向け7機、H-ⅡAロケット向け22機、H-ⅡBロケット向け4機分を納入した豊富な実績を持っている。

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