三菱重工、米P&Wの中小型ガスタービン事業買収を完了
2013年5月22日 13:32
三菱重工業は20日、米航空機用エンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney:P&W)の中小型ガスタービン事業ユニットであるプラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(Pratt & Whitney Power Systems:PWPS)の買収手続きをすべて完了したと発表した。これを受け、PWPSは5月17日(米国現地時間)、商号を「PWパワーシステムズ」に変更し、三菱重工のグループ企業として営業を開始した。
三菱重工は今回の買収により、2014年1月に実施する日立製作所との火力発電部門の統合と合わせ、火力発電システム市場の多様なニーズに対してよりフレキシブルに対応できる体制が整うこととなる。
PWPSは航空機エンジン転用型ガスタービンを活用したエンジニアリング・組立・販売を主力に、ガスタービンのサービスやEPC(設計・調達・建設)なども手掛けている。従業員数は約430人。また、今回の買収に伴い、イタリアの低温熱源発電用(ORC)タービンメーカーであるターボデン社も三菱重工の系列に加わる。
三菱重工はこれまで大容量かつ高効率のハイエンド機を中心にガスタービン事業を展開してきたが、PWPSの中小型の航空機エンジン転用型ガスタービンが三菱重工の製品群に新たに加わることで、売上規模で先行する欧米の競合他社にも十分匹敵するフルレンジのラインナップが整う。
PWPSの航空機エンジン転用型ガスタービンは、コンパクトな設計と起動時間の早さにより、主として非常用発電用として高い評価を受けており、これまで世界中に1,700台以上の納入実績を持っている。今後はさらに再生可能エネルギーのフレキシブルな補完電源として大きな伸張が見込めるほか、新興国の小型電源としても幅広い市場を期待できる。また、これまでは3万kWクラスの機種が主力だったが、現在開発中である6万kWクラス新機種の早期投入を考えており、これによりシェアの大幅拡大を目論んでいる。
ターボデン社のORCタービンはバイオマスや工場排熱、さらには地熱などの低温熱源を用いて発電や温水供給できるシステムが特徴で、欧州を中心に世界20ヵ国向け300基超の販売実績を持っている。日本においても再生可能エネルギーの固定買取制度により、これまで利用されていなかった地熱やバイオマスなどの低温熱源を用いた発電事業が増加しているが、今後これら拡大する市場で積極的な事業展開を行っていく。