【話題】成長戦略第2弾を発表!農業・リース関連はマーケットの柱となるか?

2013年5月19日 16:43

  5月17日の株式市場では、農業関連銘柄やリース関連銘柄の上昇が目立った。政府が17日に「成長戦略第2弾」として農業の成長促進策や、企業の設備投資促進に向けたリース活用支援制度の新設などを発表する予定との報道が材料視された。

  そして安倍晋三首相は同日の講演で「成長戦略第2弾」を発表し、キーワードとして「世界で勝つ」を掲げた。主な内容としては、企業活性化戦略として今後3年間を「集中投資促進期間」と位置付けて、企業の設備投資額をリーマン・ショック前の水準である年間70兆円規模に回復させるために、リースを活用した支援制度を新設する。

  さらに、自動車の自動走行など先端技術の実証実験を対象とした特例的な規制緩和や、インフラシステム輸出を20年までに3倍の30兆円に増やす目標などが盛り込まれた。中小・ベンチャー企業関連では、銀行からの融資に関して個人保証を求める慣行を見直し、中小規模事業者向け金融の新たな枠組みを創りたいとした。

  農業関連では、耕作放棄地を借り上げて農業生産法人などに貸し出す「農地集積バンク」の創設や、輸出拡大など「農業の6次産業化」によって10年間で農家・農村の所得倍増を目指す戦略を策定するなどとした。また観光面では訪日外国人の増加、クールジャパン戦略では放送コンテンツの輸出拡大、教育関連では外国人教員の増加などを示した。

  ただし、企業関連では法人税の減税や労働・雇用面での解雇規制緩和、農業関連では株式会社参入の全面自由化、さらに混合診療の解禁などは盛り込まれなかった。成長に向けた「一丁目一番地」の象徴として期待された「大胆な規制改革」は見送られた形である。

  企業の設備投資促進に関するリース活用支援制度に新鮮味があるものの、農業関連での「農地集積バンク」の創設など、今回発表された戦略の多くは従来から報道されている内容にとどまっている。そして全体としては「掛け声は勇ましいが、小粒で部分的な政策」との印象が強く、期待されたほどの大胆な成長戦略とは言い難いだろう。

  参院選を控えているため、痛みを伴う大胆な規制改革には踏み込めないという事情があるようだが、注目された「成長戦略第2弾」を週明けの株式市場があらためて材料視するのか、17日に人気化した農業関連銘柄やリース関連銘柄の人気が継続するのか、それとも「やや期待外れ」という失望感が優勢になるのか、市場がどのように反応するかが注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【狙い場・買い場】クラリオンは自動車向けクラウドサービスにグーグル技術応用、2ケタ増益(2013/05/16)
【アナリストの眼】ワークマンは作業関連品店舗を710店展開、今期営業益2ケタ近い増益、10円増配の年75円配当も評価で株価上値追う(2013/05/16)

関連記事

最新記事