次世代畜電池のエースとして リチウムイオン電池を検証

2013年5月15日 20:39

 現在、リチウムイオン蓄電池が、なぜこれほどまで各方面で脚光を浴びているのか。リチウムイオンは、これまで太陽光発電システムの蓄電に、最適なものとしてとらえられてきた。しかし太陽光発電システムにおいて、太陽光と、蓄電池を併用する方法は、まだ本格的には進められていないというのが現状だ。最近一部のモバイル電子機器や、電動機付自転車に使用されている程度である。

 しかしここにきて世界中から脚光を浴びる出来事が起こった。

 米ボーイング社のB787問題である。日米の航空当局がB787 の運航停止を指示、その原因とみられる、バッテリーとして使われているのがリチウムイオン電池だ。その発煙、発火した原因を調査中だったが、まだ特定できていないまま日米で運航を開始した。

 そこで、リチウムイオン電池とはどのようなものなのか、そのメカニズム、メリットデメリットを追ってみよう。

 一般的に言って電池とは、化学反応によって電気を生み出す装置のことを言う。普通の電池は、化学反応を逆にたどることはできない。蓄電地は、逆向きの電流を流すことで、繰り返し電流を発生するメカニズムを持っている。蓄電地も数多くの種類があるが、その代表的の蓄電地がリチウムイオン電池だ。

 リチウムイオン電池は、自然エネルギーを基に、生み出した電力を、科学的エネルギーとして貯蔵しておき、必要な時に取り出して使うことができるのだ。

 

 その用途として、太陽光発電システムで生み出した電力を貯蔵して、好きな時に使うといったことや、小さくて軽い割には、多くのエネルギー鵜をためることができるという利点がある。そのことから大きな動力が必要としない、携帯電話や電気自動車などの電源として、大容量化も日々進んでいるといわれている。

 またリチウムイオンの大きな特徴の一つに、他の電池と違って劣化しにくいという面もあり、こうしたことから次世代のエースといわれている蓄電地である。多くの蓄電地には、事故放電によって、蓄えた電気を多少失ってしまう性格があるが、リチウムイオンは全くそれがない。住宅の太陽光発電でできるような、微量の電気でも問題なく取り組むことができる。

 リチウムイオン電池は、今脚光を浴びている再生可能エネルギー「太陽光発電」蓄電のエースとして取りあげようと、研究が進められている。電池には、乾電池などにみられる使い捨ての一次電池と、充電して繰り返し使える二次電池がある。リチウムイオンは、後者に属する。電気を通す電解液に、プラスとマイナスの電極を入れ、その間を電子が行き来して電気をつくる仕組みだ。その特性は、卓越したものがある。他の蓄電地にみられるような、自己放電で電池を失うことは全くない。

 また電気が残っているうちに充電すると、蓄電池の容量が減少するメモリー効果が弱点とされていたが、その点も全くない優れものなのだ。リチウムは、1センチ角の立方体の重さが0.5グラムと、金属の中で最も軽く、小型化し易いので、携帯電話や電気自動車にも使われている。

 そして最大のメリットは、繰り返し使っても性能が落ちることはない、という特性がある。寿命は約10年、こうした特性を考え、最近はその用途が大きく拡大しているのは確か。しかしこうしたメリットだけではない。最大の欠点とされるのが、充電しすぎると、「過充電」という現象が起きるということだ。

 これが今回のB787問題で専門家が論議している欠点といえよう。「過充電」になると電解液からガスが発生したり、発熱したりする現象。放電しすぎる「過放電」も同様な異常発熱の原因となることが指摘されている。電解液に燃え易い有機溶媒が使われているため、適切に使用しないと発火や爆発の可能性もあるという。

 今回のB787トラブルの要因ともみられるが、他方、他の電気系統のトラブルから来たものと、専門家の意見も分かれており、完全に原因を突き止めるにまだ調査には時間がかかりそうだ。

 リチウムイオン蓄電池の今後の課題は、その材料として希少な金属コバルトが使われていることで、コスト面が高い。こうした課題を克服した時、さらにリチウムイオンの用途は広がり、文字道理、真の次世代のエースと呼ばれるであろう。(編集担当:犬藤直也)

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