プログレスM-19M、ドッキング時にISSに損傷を与えた可能性

2013年5月13日 22:45

  先月26日に、アンテナの一つが展開しないまま国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを強行したプログレスM-19M補給船が、そのドッキングの際に、ISSに取り付けられている部品に損傷を与えた可能性があるようだ。

  プログレスM-19MはISSへの補給物資を搭載したロシアの無人補給船で、4月24日に打ち上げられた。しかし、その直後クルスと呼ばれる装置のアンテナの一つが展開しないという問題に見舞われ、ロシアは結局、アンテナが閉じたままドッキングを強行した。

  アンテナが閉じたままドッキングすると、ISS側の何らかの部品と干渉し、損傷を与えたり、あるいはドッキングが妨げられるのではないか、という懸念はアメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)から上がっていたようだが、プログレス補給船を製造しているRKKエネルギヤ社は「危険性は低い」と判断し、また実際ドッキングの際も、何かがぶつかったり、壊れたりするような音は、少なくともISS内にいた宇宙飛行士は耳にしなかった。

  しかしNASAが宇宙専門紙SpaceNewsに語ったところによれば、欧州の無人補給船ATVがドッキングの際に使用する、レーザー反射鏡に接触した可能性があると見ており、宇宙船や、宇宙飛行士の船外活動によって状況を確認したいと考えているようだ。この反射鏡はATVとISSとの相対距離と角度を測るためのもので、わずかでも損傷や表面の汚れがあったり、あるいは設置位置がずれたりしてはならない。

  NASAでは、今月14日には現在ISSに滞在中の宇宙飛行士のうち3名がソユーズTMA-07Mで地球に帰還する予定になっていることから、ソユーズTMA-07MがISSから分離した後、カメラを使い、くだんの部分を撮影する案が浮上している。

  一方でATVの4号機(愛称アルベルト・アインシュタイン)の打ち上げが6月6日に設定されており、同機はプログレスM-19Mと同じドッキング・ポートを使うことから、万が一レーザー反射鏡への損傷が見つかった場合は、打ち上げの延期も考えられる。

 ■NASA Worries Latest Progress Docking Damaged ATV Reflector | SpaceNews.com
http://www.spacenews.com/article/civil-space/35269nasa-worries-latest-progress-docking-damaged-atv-reflector#.UZDIpMohMZU

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