TOHOシネマズ 高校生の鑑賞料金を値下げ
2013年5月7日 20:46
TOHOシネマズは6月1日より、高校生の映画鑑賞料金を現在の1,500円から1,000円に変更する。
同社では、一昨年に全国の7つのシネコンで試験的に、一般料金を1,800円から1,500円に、高校生料金を1,500円から1,000円にする値下げを実施しており、その際に高校生の1,000円という料金設定が好評を得たことで、今回、通年での全国一律の値下げに踏み切ることを決定した。
しかし、一般料金は1,800円のまま据え置かれる。その理由は、前述の値下げ期間に、1,500円に値下げしたにもかかわらず、入場者数が5%も減ってしまったからだ。これは、値下げの一方でレディースデイ、シニアデイ、レイトショーなどのサービスを撤廃し、事実上の値上げになったせいが大きいとみられるが、一般の通常料金を値下げすることに大きなメリットはないという判断による。
実際、各種割引サービスを巧みに使って1,000円で映画を観ている人が全体の6割といわれており、とくにここ数年間は映画業界の過当競争が激しく、入場料単価が下がり続けていて1人当たりの客単価は平均1200円程度になっているという。ちなみに1800円で映画を観ている人は全体の1割程度だというから驚きだ。今回の値下げでは、前回の轍を踏まないよう、高校生料金は値下げするものの、各種割引サービスはそのまま継続されることになるという。
TOHOシネマズでは、鑑賞料金を下げることで、若者の足をもっと映画館に向けさせて映画ファンを育成し、将来の映画人口を増加させるのが目的という。この試みがうまくいけば、他のシネコンにも広がる可能性は十分あるだろう。
しかしながら、TOHOシネマズに限らず、高校生料金はともかく、やはり一般料金も一度見直してみる必要があるのではないだろうか。割引サービスがあるからそこに集中してしまうのか、それとも通常料金が観客の金銭感覚的には高すぎるのか。どちらにしても、実際に客単価が1,200円平均なら、それが適正価格ともいえるだろう。それとも、実際は1,200円でもいいのだが、割引のお得感を演出するために、一般料金をわざと高く設定しているのか。もしもそうだとすれば、あまりにもばかげた話だ。(編集担当:藤原伊織)