生産性にとってのもうひとつの脅威:プレゼンティーイズム

2013年5月3日 16:31

 社員が出社してきていても、ビジネスを脅かし、経営者に金銭的負担をかける就業状態のことを何というかご存知でしょうか。それはプレゼンティーイズム(疾病就業)といい、比較的新しい概念です。

 ダニエル・シッターは“Presenteeism: The Hidden Costs of Business”の中で、“プレゼンティーイズムは、病気や体調不良などが原因で従業員が会社を頻繁に、または無断で欠勤する「アブセンティーイズム」という言葉から考え出された造語で、従業員が主に健康や生活に問題を抱えているせいで仕事に十分集中できず効率が落ちるにも関わらず出社してきて、生産性に一定の損失を与える状態のことをいう”と定義しています。

 社員がそんな状態でも賃金は変わりませんから、“企業側からすると、プレゼンティーイズムはアブセンティーイズムに比べて7.5倍にコストがかさむと推定されています。” シッター氏はこの記事の中でいくつかの気がかりな統計も紹介しています。

・プレゼンティーイズムは企業における生産性の全損失の61%を占めている。
・プレゼンティーイズムによって企業は従業員1人当たり年間2000ドルの損失を出している。
・米国では従業員の生産効率低下が原因で、企業は年間2500億ドルの損失を被っている。

 これは憂慮すべき数字です!企業にだけでなく、従業員にとっても驚異的です。プレゼンティーイズムは、企業にとってお金がかかる一方で、従業員には生産性が低下する原因となっていて、結果的にストレスがさらに増すことになるからです。

 この傾向を改善することは簡単にはできませんが、企業がダメージを軽減できる方法はいくつかあります。

・病気のときは出社しなくてよいということと、さらに明確に、そんなときに出社して病原菌をまき散らすことは非常に無責任で失礼なことだと従業員に再認識させる。
・病気や個人的な危機的状に陥ったときは家から仕事をしてもよいことにする。こうすることで、プロジェクトの遅延で職を失うことを恐れる従業員の精神的負担を軽減できる。
・個人的な理由での欠勤と病気による欠勤を差別しない。これにより、社員は私的な問題を解決するために家にいやすくなる。

 企業からすると、アブセンティーイズムは奨励したくない一方で、従業員に生産効率を上げるよう促したいと思っているはずです。社員に自宅で個人的な問題に対処する機会を与える、あるいは病気のときには出社するプレッシャーを感じさせないようにすると、仕事の生産効率の高い従業員を保持することができるはずです。

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