拓銀破綻に関与したカブトデコムが特別清算開始決定、負債は5061億円
2013年5月1日 14:56
拓銀破綻に関与したカブトデコム(札幌市西区)は、4月25日に札幌地裁より特別清算開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債は2012年9月中間期で約5061億円。
帝国データバンクによると、カブトデコムは1971年4月に兜建設として設立。当初はマンションなどの建築工事を主体に手がけていたが、その後は不動産開発事業に進出。札幌市内を中心にビル建築などを行うほか、ホテル経営や関連会社でのゴルフ場経営などを手がけ、86年3月に兜大友建設、88年9月に現商号に変更し、翌89年3月に株式の店頭公開を果たした。
バブル期には、北海道拓殖銀行のインキュベーター(新興企業育成)路線の対象企業として、同行からの全面的な支援のもと不動産投資をさらに推し進め、海外現地法人を相次いで設立して米国、フランス、タイ、香港などで不動産事業を展開。90年秋には総事業費約700億円をかけた「ホテルエイペックス洞爺」(虻田郡洞爺湖町、現「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」)の建設に着工、91年3月期には年売上高約1009億6000万円を計上していた。
しかし、その後はバブル経済の崩壊による不動産市況の落ち込みから業績の悪化を余儀なくされ、93年3月期には赤字に転落。同年12月には創業者で当事社長だった佐藤茂氏が手形偽造容疑で札幌地検に逮捕される事態が発生(99年8月に無罪が確定)。さらに、97年11月には同社に巨額の融資を行っていた北海道拓殖銀行が経営破たんし、同社向けの債権が整理回収機構に譲渡。99年6月には店頭管理銘柄を取り消されたほか、2002年3月に同機構に対する債務約3865億円のうち約51億9724万円について、2010年9月を最終期日として8年間で分割弁済する旨の合意がされていた。
しかしこの間、同社の業容が大幅に縮小するなかで残債約6億円の支払履行がされず、2012年9月中間期では約5060億円の債務超過となり、今年2月28日開催の臨時株主総会で解散を決議していた。