ますますガラパゴス化する東京モーターショー
2013年4月30日 10:43
現在開催されている上海モーターショーでは、急成長を遂げた中国に向けて、シャア拡大を目指し日米欧の大手自動車メーカーが、エコカーなどを主力とした車を展示している。国際規模のモーターショーといえば、以前は北米国際オートショー(アメリカ)、東京モーターショー(日本)、フランクフルトモーターショー(ドイツ)とされていたが、現在では、ジュネーヴ・モーターショー(スイス)、パリモーターショー(フランス)を加えた世界5大モーターショーが有名だ。ところが、この中でも東京モーターショーだけは特殊なショーとして一人歩きしているというのだ。
2011年の東京モーターショーは24年振りに会場を幕張メッセから東京ビッグサイトへと東京に会場を移した。来場者数は84万人だったが、91年の201万人をピークに年々減少している。その理由の一つに2009年からGM、フォード、クライスラーの北米ビッグ3の不参加が続いていることがあげられるだろう。自動車大国のアメリカが不参加というのは今更ながらビックリだが、それほど米国メーカーにとっては参加する価値がないショーだという位置づけになっているのだ。実際、東京モーターショーで新車発表をするのは、ほぼ国内自動車メーカーのみとなっており、プレス的にはあまりおいしいニュースがないというのが近年常態化している。今や新車発表の場は欧米諸国を始め、上海モーターショーなどの新興勢力にも奪われてしまっているのだ。今年11月に開催される東京モーターショーにもビッグ3の出展は予定されていない。
ガラパゴス化しているのは、なにも東京モーターショーだけに限ったことではない。今や日本国内で開催されるさまざまなイベントがガラパゴス化しているのだ。理由の一つとして考えられるのが、日本の展示会はBtoCを主に考え、企業ブランド、商品の広報活動のひとつとして捉えているのに対し、海外企業にとって展示会は商談の場でありBtoBがメイン。これは先述の東京モーターショーにもいえること。
それと致命的なのが会場自体の狭さだ。安倍総理大臣が、今年3月の衆議院予算委員会で、「東京ビッグサイトの規模は世界で68番目であり、他国と比べてかなりちいさい」「成長戦略のためにも大規模な展示会場が必要」と答弁したほど、今、日本には経済規模に比べて圧倒的に展示会場が少ない。この総理の発言のきっかけになったのは、「スマートエネルルギーWeek2013」という新エネルギー展で、展示面積不足から、次回は約200社の出展を断るのではと危惧されていることが発端となった。ちなみに世界最大の展示場はハノーバー(ドイツ)で、東京ビッグサイトに比べて約6倍近くの展示面積を誇るという巨大なもの。さらには中国、韓国、シンガポール、タイなどの新興国にも負けているほど、日本は展示場が少なく、また展示面積も狭く、日本最大の東京ビッグサイトでさえ、世界ランクからしたら68位なのだ。
モーターショーを含め、展示会のあり方を世界標準に合わせ考えていかないと、ますます世界から孤立し、遅れをとる。アベノミクスで円安、株高で国内景気は回復しつつあり、日本製品の輸出にも追い風となっている今、一刻も早く国の政策の一つとして展示会場の増設、新設をしていかないと、展示会場のガラパゴス化から脱却するのは難しいだろう。(編集担当:鈴木博之)