長引くシリア内戦、欧米の支援拡大は解決につながるのか?

2013年4月23日 19:00

 悲惨な状況が続くシリアの内戦を終結させるため、欧米やアラブ諸国など反体制派支持国のうち主要11ヶ国が、イスタンブールにて、国際会議「シリアの友人会合」を開催した。

 米国が支援額を2億5000万ドル(約248億円)に倍増することを決定した他、各国とも支援を強化していく方針だ。

 また、武器の支援についての慎重な取り扱いなどについても合意した。

 海外各紙は、一日も早いシリア紛争の解決に向けて、各国が一致団結する様子を報じている。

【各国とも武器以外の支援を拡大】

 反体制派支援の筆頭に立つ米国は、武器以外の物資支援を倍額にすると発表。街中で襲撃戦が繰り返され、多くの市民までもが命を奪われている悲惨な状況において、米国は武器ではなく食料や衣料品の供給に注力してきた。今後もその方針は変えず、武器以外の物資支援を行なっていくと各紙は報じている。中には防弾チョッキや暗視ゴーグルなど殺傷力のない軍事装備品が含まれる可能性もあるが、詳細は明らかではない。ニューヨーク・タイムズ紙によると4月30日までに現地に支援品を届ける予定だという。

 また、EUも米国の決断に続き、反体制派からの原油輸入禁止の制裁措置を一部緩和する方針を明らかにした。これにより、反体制派の武器購入のための資金調達や、彼らの管理下にある人々の生活や経済活動の回復を後押ししたい考えだ。

 その他、トルコは、シリアのアサド大統領が辞任を拒否した場合、支援を拡大する予定でいるとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。支援国らによる国際支援は10億ドルを目指すもようだ。

【今後の武器支援にも含みを持たす】

 国際支援が拡大されたものの、激化する政府軍のミサイル攻撃を止めるための武器支援や、南北国境付近を中心とした飛行禁止区域の設定などが必要だとする反体制派の要請は叶わなかったと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は取り上げている。

 実際、反体制派の中でも穏健派と過激派の対立がみられており、欧米諸国は過激派が勢力を増すことを懸念しているため、武器支援を控えてきた。

 今回の会合ではその方針を変えるに至らなかったが、今後は武器の支援を行う際には、穏健派である最高軍事評議会を通して支援すると各国が合意したことで、将来のさらなる支援拡大につながると米国は述べているという。

 また、反体制派は会合後の声明で「支援された武器が誤った人間の手に渡ることなく、支援国からの限定された方法でのみ使用する」点や「シリアの政治的解決のために、多元的国家の設立と過激派の排除を目指す」と発表しており、これまでにない明確な姿勢が支援拡大の後押しになるだろうとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

 武器支援については、ヌスラ戦線などのイスラム過激派に対する見解が支援国の間で割れており、欧米諸国は彼らに武器が渡ることで内戦が激化することを懸念している。一方、アサド政権軍による襲撃は日々続いており、多くの命が奪われているため、一刻も早い解決が望まれている。

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