アマゾンの書籍SNS最大手を買収で、電子書籍市場はどうなるのか

2013年4月21日 21:01

 今、世界の電子書籍市場が大きく動き始めている。その大きなうねりの元になりそうな出来事が3月末に起こった。米Amazoneが書籍コミュニティーサイト「Goodreads」の買収を発表したのだ。また、同社は今年はじめ音声認識システム「Ivona」も買収している。これらの買収が意味するところは何だろう。そして、電子書籍の未来はどこに向かおうとしているのだろうか。

 Goodreadsは、いわゆる「書籍系SNS」とよばれるサイトで、登録している会員が書評を投稿したり、あらすじを記録したりすることで、お気に入りの書籍やお勧めしない書籍の情報を相互に共有サービスだ。書籍系SNSでは後発組でありながら、2006年の開始から着実に会員数を増やし、今では1600万規模の会員数を誇るサイトに成長した。成功の大きな理由は、投稿のしやすさや管理のしやすさという基本的な機能に優れているだけでなく、競合するサイトに比べて「ソーシャル機能」に秀でていた点が挙げられる。そして今回、AmazoneがのGoodreads買収に乗り出したのは、同社が展開するKindleへのSNS導入が目的だとみられている。SNS利用の分野では電子書籍市場で競合する同業他社に少し遅れをとっていた感のあるAmazoneにとってこの買収は、一気に挽回を図る好機になることだろう。

 また、Goodreadsの競合には、「LibraryThing」や「Shelfari」などがあるが、「LibraryThing」は、Amazoneから資本を受けているし、「Shelfari」に至っては、2008年8月にすでにAmazoneに買収されている。

 この買収劇により、一気に窮地に立たされるのは、ソニー<6758>とKoboだ。これまでソニーとKoboは信頼のおけるパートナーとして、Goodreadsのレビューに依存してきた。その関係が一夜にして反転し、最高のパートナーが最大の敵となってしまったのだ。ソニーもKoboもこれ以上Goodreadsを利用し続けることは、敵に塩を送り続けることと同じであり、Amazoneの発展に貢献することになりかねない。

 とはいえ、Goodreadsの利用を停止すれば、それはそれで読者の求める質の高いレビューの提供がままならなくなり、顧客離れを招く結果が待っているだろう。そうなればまた、Amazoneの思うつぼだ。少なくともこの2社は、今回の買収によって読者レビューに対するコントロールの大部分を失ってしまったといっても過言ではないだろう。

 自社でレビューを保有している「Apple」と「Barnes&Noble」は幸いにも難を逃れたかたちだが、かといって笑っていられる場合ではない。端末やコンテンツの開発だけでなく、M&A戦略の見直しも迫られることになるだろう。(編集担当:藤原伊織)

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