医療も4K・3Dの時代へ突入
2013年4月20日 16:15
次世代家電の主力商品として注目を集める高解像度4K。その技術は、テレビや映画などのメディア業界だけではなく、医療分野での活用も期待されている。そんな中、4月16日付けで、ソニー<6758>とオリンパス<7733>の医療事業合弁会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」が設立された。
ソニーとオリンパスは昨年9月に業務・資本提携を結んでおり、オリンパスが実施する第三者割当増資をソニーが引き受け、ソニーはオリンパスの筆頭株主となっている。メディカル事業だけでなく、コンパクトデジタルカメラで基幹部品の取引やソニー製イメージセンサーのオリンパス製カメラへの供給などで協業を検討していくことを明らかにしており、今回の合弁会社も本来は昨年12月の設立を予定していたが、一部の国で承認が遅れてしまったことにより、予定がずれ込み、約4ヶ月遅れでの設立となった。
資本金5000万円の内、ソニーは51%、オリンパスが49%をそれぞれ出資。新会社はソニーの連結子会社となる。社長には、2006年にコニカミノルタから買収したデジタル一眼レフカメラ事業の立ち上げに携わってきた、ソニーの勝本徹氏が就任。副社長にはオリンパスの深谷孝氏が就任する。深谷氏は外科内視鏡や手術用顕微鏡の開発に携わった実績を持つ人物で、新会社で開発する外科用内視鏡機器の新製品にも、オリンパスの開発資産を積極的に活用する方針。また、新製品の販売もオリンパスネットワークを利用する。
従業員は当初、ソニー側50人、オリンパス側30人の計80人でスタートし、こちらも幾分、ソニー色の強い陣容となってはいるが、本社拠点は八王子にあるオリンパスの「技術開発センター石川」の近隣に置かれる。
ソニーは医療事業の分野で、2020年には2000億円以上の売上高にする計画で、このうち新会社の売上高で3分の1を目論んでいる。また、残りの3分の2は、ソニーが手がける細胞分析機器や検査診断機器などのライフサイエンスの分野及び医療機関向けのプリンターになるが、勝本社長がソニーの業務執行役員を兼務し、ソニーの他の医療事業との連携も強化する構えだ。
新会社は主力となる製品は、4K以上の解像度技術と3D機能などを持つ新型の外科用内視鏡と関連システムとなるが、これらの機器はソニーが持つデジタルイメージング技術とオリンパスが持つ内視鏡技術などを組み合わせて開発し、既存事業の枠組みを超えた画期的な製品の市場投入を目指す。
また、開発だけでなく、製造や販売、手術室向け医療機器、映像機器システムもグローバルに展開していくという。さらに、将来的な展開としては、かつて一世を風靡したロボット犬・AIBOの開発などで培ったソニーのロボティクス技術も応用して関連機器を開発したいと意気込みを見せている。
医療もついに4K・3Dの時代へ突入。日本の高い技術力が、世界の医療の飛躍的な発展に貢献することを期待したい。(編集担当:藤原伊織)