日本は月収の6~10%を教育費として貯蓄、他の国々はどうか

2013年4月17日 16:56

 孫への教育資金贈与非課税制度が創設されるということで、俄かに関心の高まりつつある教育費。また、昨年、アジア開発銀行が発表した家庭教師についてのレポートによると、ここ数年で家庭教師代に費やされている金額が増加。香港では2011年に2億5500万米ドル以上を中学生の家庭教師に費やし、日本でも、2010年に約1兆1880億円(120億米ドル)を家庭教師に費やしているという。こうした中、マスターカードが、アジア/太平洋地域における最新の教育費に関する消費者調査の結果を発表した。

 日本においては、子供のいる世帯のうち、61%が将来のために教育費を貯金していると回答。そのうち、毎月の収入のうちの6~10%を教育費として貯金していると回答した人が38%で最多となった。また子供のいる世帯で、現在の家計における教育費の割合は収入の11%から30%と回答した人が最も多く、学校教育以外に習い事をさせていると回答した人は全体の56%となっている。ちなみに習い事の上位は、一位が塾や家庭教師などの勉学系(29%)で、以下スポーツ(23%)、楽器(17%)、語学(16%)、芸術(5%)の順となった。さらに、将来子供をどこの大学に行かせたいかという質問については、71%が国内の大学、13%が海外(欧米)の大学と回答している。

 一方アジア/太平洋地域の消費者は、月収の14%を子供の教育費に充てているとの回答が69%を占めている。最も高かった市場は、ミャンマーで収入の18%、逆に最も低かった市場は、ニュージーランドで収入の8%となっている。また、アジア/太平洋地域の6割以上の世帯が子供に習い事をさせており、特に中国と韓国では、大半の子供たちが語学教室に、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンではスポーツの教室に通っているという。さらに、インド(54%)、台湾(52%)、タイ(52%)では、半数以上の親が、学校教育以外の追加の教育費をかけ、マレーシア(46%)、シンガポール(45%)、バングラデシュ(45%)がこれに続く結果となっている。特殊なところでは、香港において、50%以上の回答者が楽器を習わせることを好んでいるという結果が出ている。

 今後も子どもへの教育費は増加するであろう。そして、特に習い事等への出費は、子ども自身が望んだものであれば将来的に大きなリターンを産む可能性があり、そうでなくても、市場にお金が回るという性質を持ったものである。となると教育費を増加させる方向への誘導は、真に日本の将来を見据えたものと言うよりは、親の子供への期待を利用した現在の経済刺激策という性格が強いものではないだろうか。(編集担当:井畑学)

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