スペースシップツー、動力飛行間近か

2013年4月15日 08:00

  ヴァージン・ギャラクティック社は12日、開発中の宇宙船スペースシップツーの滑空飛行を実施した。この飛行はおそらく、ロケットモーターを使った動力飛行へ向けた、最後の飛行となる。

  4月12日、母機であるホワイトナイトツーに搭載されたスペースシップツーは、カリフォルニア州のモハーヴェ空港&宇宙港から離陸、空中で切り離された後、約11分間に渡る滑空試験を実施した。滑空試験ではあるものの、機体にはロケットモーターが装着されており、つまりロケットに点火さえすれば宇宙空間に到達できる状態にあった。

  この本番さながらの飛行は今回で3回目となるが、今回初めてコールド・フロー試験と呼ばれる試験が実施された。コールド・フロー試験とは、実際の打ち上げと同じ手順で、タンクから配管を通じてエンジンに推進剤を送り込み、ただし点火はされず、そこまでの流れが正しく機能するかを確認するというものだ。同機にはハイブリッド・ロケット・モーターと呼ばれる、固体の燃料内に液体の酸化剤を流して燃やす形式のロケットが使われており、燃料内に酸化剤の亜酸化窒素を流し、そのまま排出させることで、実際に空を飛んでいるときでも亜酸化窒素が想定通り流れるかを試験したというわけだ。

  スペースシップツーがロケットモーターを搭載した状態で飛行するのはこれが3回目だが、1回目の飛行を行った際、ヴァージン・ギャラクティック社は「実際にロケットに点火しての動力飛行の前に、少なくともあと2回は滑空飛行を行う」と明かしている。今回の飛行でそのノルマは達成したことになるが、現時点で動力飛行をいつ実施するかという予定は明らかにされていない。

  しかしモハーヴェ宇宙港の界隈では、冒険家スティーヴ・フォセット氏の誕生日にあたる4月22日に行うのではという噂が流れている。フォセット氏は2005年にグローバル・フライヤーという飛行機に乗り、世界初の無給油かつ単独での世界一周に成功した人物だ。グローバル・フライヤーを開発したのはスペースシップツーを開発しているスケールド・コンポジッツ社であり、またこの冒険をスポンサードしたのは、ヴァージン・ギャラクティック社の系列にあるヴァージン・アトランティック航空であった。

  フォセット氏は2007年、小型機で飛行中にシエラネバダ山脈の山中に墜落し、亡くなっている。もし4月22日に、スペースシップツーが宇宙へ上がることができれば、彼にとっての最高の手向けとなるだろう。

 ■News – SpaceShipTwo Advances Towards Powered Flight with Spectacular “Cold-Flow” Test | Virgin Galactic
http://www.virgingalactic.com/news/item/spaceshiptwo-advances-towards-powered-flight-with-spectacular-cold-flow-test/

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