急増する「偽学術誌」
2013年4月11日 10:20
ある Anonymous Coward 曰く、
最近「偽学術誌」なるものが急増しているそうだ (Motherboard の記事、The New York Times の記事、本家 /. 記事より)。
昔は学術誌の数も現在よりは少なく、学術誌といえば「Nature」や「Science」といった権威あるものも多かった。学会なども開催しているようなこういった学術誌に掲載されている論文は査読も通っており、真っ当な研究であるとされていた。しかし新たな出版物を立ち上げるのが容易となった今日、「偽学術誌」なるものが雨後の筍のように出現しているという。これらの偽学術誌は掲載にあたり数十万円、またカンファレンスに参加するのに更に数十万円積む必要がある場合もあるそうだ。厄介なことにこの偽学術誌は著名な学術誌に名前をよく似せていることが多い。例えば今年開催された「Entomology-2013」というカンファレンスは昆虫学分野の権威ある学術誌「Entomology 2013 」(注: ハイフン無し) に名を似せた偽カンファレンスであったとのこと。「著名そうな」人々をパネルやプレゼンテーションに呼び、ウェブサイトに彼らの素晴らしい職歴や写真を掲載していたこのカンファレンス、来場者を有料で募っていたという。
一つのビジネスとして成立しているこの新業態は需要もしっかりあるという。金銭を積んででも自分のレジュメを飾り立てたい人々は多く、一種の投資として考えられている場合もあるようだ。最近ではこのような偽学術誌の数が余りにも増えてきており、Nature では最近一号丸々この問題に焦点を当てた「The future of publishing」を出版したとのこと。また学術図書館員の Jeffrey Beall 氏は自身のブログにて偽学術誌と思われる出版物の一覧をアップデートしつづけている。氏がこのリストを作り始めた 2010 年には 20 誌程だったが、現在では 4000 誌以上にまで膨らんだとのことだ。
偽学術誌の台頭により、学術界においてはレジュメに掲載された出版物が本物なのかを見極めなければいけないという問題が発生しているとのこと。また素人には真っ当な研究とそうでないものを見分けるのが難しく、偽学術誌の出典を元にとんでも科学の拡散が起きる恐れもあるのではないだろうか。
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