求められる電気料金値上げ「審査基準」見直し

2013年4月6日 19:38

 関西電力と九州電力の電気料金値上げが認可された。算定にあたっての高額な人件費と電力を購入していないにもかかわらず日本原子力発電株式会社(日本原電)に関電が電気料金を支払っている分までを「電気料金」の算定に入れるのか。対応に納得できない消費者は少なくないのではないか。この件に疑問を投げ、今後の値上げ申請認可の際には是非とも『審査』において見直しを求め「具体案」を提案する国会議員がいる。自民党の河野太郎副幹事長だ。

 人件費についてみると、電気料金審査専門委員会という有識者会議は、両社の人件費を一般的な企業の平均値の賃金構造基本統計調査(1000人以上・正社員)と比較している。一見、妥当なようにみえるが、そのこと事態についても、河野議員は「市場で競争している企業の人件費と市場で競争する必要のない(自由化された部門ですら競争を拒否している)企業の人件費が同じであって良いはずがない」と審査の比較資料そのものがおかしいと提起する。

 河野議員はこの前提がおかしいのに「まして、経営がおかしくなっている電力会社の人件費が民間の大手企業と同じだというのは理屈にあわない」という。

 わたしは、この意見には全く同じ思いを抱く。「総括原価で料金が決まる電力会社の人件費は公務員の人件費と比較すべきだ」(河野議員)。読者のみなさんはどううけとられるだろうか。わたしは、少なくとも送配電部門が発電部門と切り離され、電気を買う側が購入にあたって複数の選択肢を手にするまでは、河野議員ご指摘のように公務員の人件費と比較して原価計算の妥当性を判断していくべきだろうと受け止めている。

 両社の役員報酬は国家公務員の指定職程度に削減しているという。だとすれば、なおさら、社員報酬についても公務員に比較して判断していくべきだろう。審査会の判定基準のあいまいさが気になるところだ。

 河野議員の言葉を借りれば「審査の内容たるや、メチャクチャだ。このままでは辞書にある『有識者』の定義を書き直さなければならないだろう」ということになる。

 もうひとつ、理解できないのが、日本原電という企業への電力購入料金支払いとその額を電力料金算定ベースに含めることを認めていることだ。関西電力は日本原電からの購入電力がないにもかかわらず、基本契約料として100億円を雄に超える額を日本電源に払っている。これを消費者が電気料金の中で負担している。

 電力料金の審査過程の透明性や判断材料の合理性、客観性、さらには一般消費者にも分かり易い仕組みづくりや説明方法など、今後、検討すべきところが多々あることが浮き彫りになってきている。

 東京電力福島第一原発事故以来、電力資源の貴重さとともに、価格設定のメカニズムや新たな電力創出への関心が国民一人一人の中に芽生えていることの意義は大きい。電力事業者やエネルギー政策を推進する立場の行政府はこうした国民の関心に答える努力もあわせて求められる時代に入った。(編集担当:森高龍二)

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