GW、NHK大河効果の福島を筆頭に観光客が伸長

2013年4月6日 20:06

 安倍政権によるアベノミクスの影響により、ここ数年、沈みがちであった日本経済が少しずつではあるが上向き傾向となっている。実数字としての見解はまだ鮮明ではないが、消費者の気持ちに少しずつゆとりが出てきたことが感じられる調査結果を、大手旅行会社である楽天トラベルが先日発表している。

 同社の調査によると、2013年4月27日から5月6日までのゴールデンウィーク(以下GW)の予約状況は国内旅行が前年比+20.2%と好調となっている。エリア別にみると福島県が前年比+86.0%、埼玉県が同+52.4%、三重県が同+31.1%。特にNHK大河ドラマ「八重の桜」ゆかりの地として注目を集めていることから、福島県は高い人気を集めている。また、2013年は伊勢神宮の式年遷宮の年にあたり、若い女性を中心とした参拝需要から三重県も好調。今年で2回目となる「瀬戸内国際芸術祭2013」を楽しむ旅行者も多いことから香川県も観光客が昨年より大きく上回っているようだ。

 さらに1周年を迎える東京スカイツリーや、建て替え工事を終えて装い新たに開場した銀座「歌舞伎座」、3月にオープンした丸の内「KITTE」など目の集まる東京都は前年比+25.3%、また先月より東横線と副都心線の相互直通運転により流動性が高まった埼玉県は同+52.4%、さらに東京ディズニーランド開園30周年などイベント需要も手伝って、首都圏への旅行需要が高まっている。

 GW期間中の1人あたりの旅行単価をみると、前半3連休は前年比+2.6%、後半4連休では同+4.7%と改善が見られているという。また1人あたりの旅行予算についてのアンケートでは、約3割の国内旅行者が「5万円以上」と回答しているのも注目すべき点であると考えられる。

 海外旅行も中国や韓国は未だ厳しい状況だが、シンガポールは前年比+43.8%、タイは同+41.0%、台湾は同+25.1%などアジア都市への人気が高まっている。リゾートエリアは、ハワイのホノルルが同+34.0%、グアムが同+30.9%と好調、長距離方面ではアメリカ合衆国が同+27.8%と伸長している。また、東日本大震災後、大幅に減少した日本への外国人旅行者数だが、円安を追い風にインバウンドは前年比+100.9%成長で海外からの回復が鮮明となっている。

 長引く不況に大震災とここ数年の日本経済は低迷が続き、また、先行きが見えない不安感から旅離れが進んだことで、旅行業界も大きな打撃を受けていた。しかし本年度のGWの動向をみると、国民全体の前向きな上昇志向を体感できる。余暇を楽しむ余裕を持つこと、これこそが国全体の揺るぎない回復力につながる重要なポイントといえるはずだ。(編集担当:宮園奈美)

関連記事

最新記事