東証曰く、システム開発においてコーディング後にはドキュメントは不要

2013年4月5日 19:05

insiderman 曰く、 2005年に発生した、「ジェイコム株大量誤発注事件」はみずほ証券に大きな損害を与えた。みずほ証券はこの損害の原因の1つに東証の売買システムのバグがあるとして、東京証券取引所(東証)に対し賠償を求める裁判を起こしていたのだが、この裁判が3月18日に結審した(日経ITpro)。これを受けて、日経コンピュータが「みずほ証券-東証裁判の争点を洗い出す」として争点をまとめている。

 ここで興味深いのは、東証の開発手法やソースコードに対する姿勢だ。東証はソースコードの修正時にそれに対応するドキュメントの修正を行っていなかったそうなのだが、これについて「コーディングが終了した後はドキュメントは不要」と主張している。いっぽうのみずほ側はこれについて「ソフトウェア工学の知見を無視する暴論だ」として、重大な過失であると主張している。

 また、ソースコードには著しい重複があったことが判明しているのだが、これについても東証側は「重複する記述を含むプログラムはそうでないものと比べて信頼性が高い」と主張しているのに対し、みずほ側は「品質が極めて低い」と主張、意見が対立している。

 なお、問題とされているのは、「誤発注を取り消せない」というバグ。東証側は「バグは一定の割合で必ず発生する」「バグを0にすることはできない」などとして免責を主張していた。そのため、争点となったのはバグが単なる過失ではなく、「ほとんど故意に近い、著しい注意義務違反」である「重過失」であったかどうかだったそうだ。通常ソフトウェアのバグが重過失として認定されることはまずないが、今回の件は公共インフラのシステムが対象ということから、「免責条項の有効性をかなり狭く解釈する余地がある」という。

 みずほ証券側はソースコードを解析した結果、「たかだか2つ」のテストを実施するだけで問題となっていたバグを容易に発見できたと主張。さらに、システムの開発手法も適切ではなかったと述べ、バグはこれらが原因の重過失であると主張している。

 スラッシュドットのコメントを読む | デベロッパーセクション | 法廷 | プログラミング | デベロッパー

 関連ストーリー:
スルガ銀と IBM の裁判、IBM 敗訴の理由が明らかに 2012年05月22日
スルガ銀行とIBMのシステム開発を巡る裁判、IBMに74億円超の賠償命令 2012年03月31日
ジェイコム株の誤発注問題、一審では東証に賠償命令 2009年12月06日

 

関連記事

最新記事