日銀、量的・質的金融緩和の導入を発表 デフレ脱却への取り組みを本格始動
2013年4月4日 21:35
日本銀行は4日、同日開いた政策委員会・金融政策決定会合において、量的・質的金融緩和の導入を決定したと発表した。日銀は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。
まず、マネタリーベース・コントロールの採用を全員一致で決定した。量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、金融市場調節方針を「マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」とした。この方針のもとで、マネタリーベース(2012年末実績138兆円)は、2013年末200兆円、2014年末270兆円となる見込み。
また、長期国債買入れの拡大と年限長期化を全員一致で決定した。イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。
ETF、J-REITの買入れ拡大も全員一致で決定した。資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。CP等、社債等については、今年末にそれぞれ2.2兆円、3.2兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持する。なお、CP等、社債等、ETFおよびJ-REITの銘柄別の買入れ限度については従来通りとする。
量的・質的金融緩和の継続については、賛成8反対1で決定した。量的・質的金融緩和は2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。
また、量的・質的金融緩和に伴う対応として、資産買入等の基金を廃止する。「金融調節上の必要から行う国債買入れ」は、既存の残高を含め、日銀が今後行う長期国債の買入れに吸収する。
さらに、銀行券ルールの一時適用停止も行う。日銀が今後行う長期国債の買入れは金融政策目的で行うものであり、財政ファイナンスではないこと、また、政府は、1月の「共同声明」において、「日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」としていることから、いわゆる「銀行券ルール」を量的・質的金融緩和の実施に際し、一時停止する。
そのほか、日銀は、市場参加者との対話強化や、被災地金融機関支援資金供給の延長を行うとしている。