3Dから4Kへ② プロジェクターも、いよいよ4K時代へ突入

2013年3月30日 23:04

 プロジェクション・マッピングという技法が、ここ数年で注目を集めている。プロジェクション・マッピングとは、プロジェクターから映し出す映像を、従来の平面スクリーンに投影するのではなく、建物や立体物に投影し、その際、その凹凸や角度なども計算して、仮想空間のように演出表現する技法。アート性の高いものであるが、アートだけではなく、様々な業種業態のプロモーションとしても活用されることが増えたことから、にわかに注目されるようになった。

 それに伴い、プロジェクターの一般的な認識が変わりつつある。プロジェクターといえば、これまでは特殊な業界や、もしくはプレゼンやセミナーなどに利用されるものという認識が強かったが、これがアイデア次第で、アートやプロモーションにも活用できるもの、身近なものに変化しつつあるのだ。

 プロジェクターが見直されつつあるきっかけとしては、プロジェクション・マッピングの功績は大きいが、最大の原因は、プロジェクターの低価格化、さらには高画質化であろう。一昔前のプロジェクターは、とにかく高額なことがネックだった。安価なものも有るにはあったが、輝度が低かったり、動作音がうるさかったり、とても快適に利用できるようなものではなかった。それがここ数年の間に、コンパクトで低価格、しかも高輝度高画質、静音設計のものが広く出回るようになったのだ。また、ホームシアターという言葉も広まったことで、大画面高画質のテレビがもてはやされる一方で、プロジェクターを導入する人も増えた。

 そして、今にわかに注目を集めているのが、HDよりもさらに高画質な「4Kプロジェクター」だ。せいぜい50インチ程度の一般的な家庭のテレビ画面に、4K解像度はナンセンスだといわれるが、プロジェクターならば関係ない。壁さえあれば、小さな家でも100インチ、200インチの大画面で映像を楽しむことができるから、それならば、解像度が高い高画質の方が良いに決まっている。

 そんな中、ソニー<6758>が4K/60p映像の投写が可能な「4KSXRD」(4096×2180)パネル搭載のコンパクトな業務用プロジェクターを発売した。ソニーは、2005年から大型の業務用4Kプロジェクターの開発と販売を展開してきたが、重量約20kgのコンパクトなこの新製品を追加することで、業務用4Kプロジェクターのラインアップを拡充する。

 同社では、例えば、フライト・シミュレーターや操縦機器の仮想トレーニング等、高精細な映像が求められる現場や、デジタルモックアップなどの工業デザインの確認施設、CG作品を中心としたスタジオ試写室、さらにはプラネタリウムなどの商業施設などの市場へ提案してく方針だ。

 業務用のため、市場推定価格は450万円前後と高額ではあるものの、これが浸透してさらに開発が進めば、いずれはコンパクトで低価格帯の家庭用4Kプロジェクターも、近い将来に登場することになるだろう。とはいえ、それもコンテンツがあっての話。3Dテレビ同様、ハコはあっても肝心の中身がなければ、無用の長物になりかねない。(編集担当:藤原伊織)

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