【村山貢司の気象&経済歳時記】迫り来る温暖化の影響

2013年3月29日 09:17

<迫り来る温暖化の影響>

  地球温暖化対策のための二酸化炭素削減について、日本では主に植物による吸収と原子力発電の増加と稼働率アップが主要な柱であった。しかし、東日本大震災による福島原発の事故によって原子力は増加どころかいまだに多くが停止したままの状態が続いている。原子力依存度を下げることについては誰しも異論はないところだが、代替エネルギーとして天然ガスや石油が増加しているために国内で排出される二酸化炭素が増加している。日本は温暖化対策に関連してトップレベルの環境技術を世界に売り込もうとしていたのだが、足元で二酸化炭素が増加している状況では説得力に欠けてしまうきらいがある。

  3月中旬に気象庁から温暖化による日本への詳細な予測が発表された。21世紀末には二酸化炭素濃度が現在の1.8倍になり、日本の気温は2.5度~3.5度上昇するとの予想である。東京の場合、最高気温が30度以上の真夏日は現在の平均49日から80日前後に増加し、最低気温が25度以上の熱帯夜は現在の28日からほぼ2倍の50日になる。最高気温が25度以上の日数は現在真夏日の2.26倍あるために、この比率で計算すると21世紀末は25度以上の日数が173日とおよそ半年になってしまうことになる。これは現在の奄美大島に匹敵するような気候であり、農業を始め様々な分野への影響は非常に大きくなるだろう。先進国の中で最も南に位置する日本はいわば太陽エネルギーに恵まれた国であり、その太陽エネルギーを利用することによって気温上昇を抑えることが可能である。汚染されてしまった福島原発周辺の土地を利用して大規模な太陽光発電をできないものであろうか。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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