データセンターサービス市場、世界を上回る速度で成長すると予測
2013年3月26日 17:30
富士キメラ総研が、顧客のサーバーを預かり運用する「ハウジングサービス」、コンピュータリソースを提供する「ホスティングサービス」「クラウドサービス」及び、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどのデータセンターサービス市場、関連機器市場、更には主要事業者の取組み状況と、ユーザーの利用状況までを総合的に調査した結果を発表した。
2012年のデータセンターサービス国内市場は、前年比4.9%増の1兆3454億円となり、2017年には2012年比24.0%増の1兆6685億円にまで拡大すると予測。東日本大震災を契機として、事業継続計画(BCP)やディザスタリカバリー(DR)対策が大手企業を中心に本格化した他、コスト削減を目的としたクラウドサービスの利用増加、クラウドサービス浸透による中小企業への普及などが市場拡大の要因となっている。
同市場の特徴として、駆けつけやすさなどの利便性を重視する傾向が強いため、市場の6割が関東に集中。関西では関東と比較しデータセンターが少ないためサービス価格が安定しており、2012年、2013年と2年連続で5%以上の拡大が見込まれるという。その他、北海道は自治体の利用検討が進んでおり、中部では関東などからのバックアップセンター需要が増加。災害が少なく原子力発電所から距離があるという理由により岡山が対策拠点として注目されているとのこと。
2012年のデータセンターサービス世界市場は12兆1704億円となり、2017年には13兆8585億円と予測。特に大きな成長が見込まれているのが、シンガポールやインドなどのアジアである。インドではインターネット利用者数が2011年に1億人を突破。シンガポールは、津波、地震、台風などの自然災害が少なく、電力や通信のインフラが整っているため、政府が積極的な誘致を行っており、外資系企業のハブ拠点として投資が集中、拡大しているという。
BCPやDR対策は、その重要性を認識していても、いざ災害等に見まわれて必要性を肌で感じないと後回しになりやすい分野である。災害の多い日本でさえ、一昨年の震災が大きな契機となっている程であるから、諸外国ではさらにその傾向が強いであろう。それだけ、日本が世界に先行して手本を作っていける市場ということでもあり、今後の動向に注視が必要であろう。(編集担当:井畑学)