三井物産と三井石油開発、イタリア陸上油田の一部権益を取得

2013年3月19日 12:53

 三井物産と三井石油開発は18日、新規に設立した投資子会社Mitsui E&P Italia A S.r.l(MEPIT、三井物産60%、三井石油開発40%出資)を通じ、仏エネルギー大手Total S.A.(トタル)傘下のTotal E&P Italia S.p.A からイタリア陸上ゴルゴリオーネ鉱区テンパロッサ油田の25%権益を保有するTotal E&P Energia Italia S.r.lの全株式を取得することで合意し、3月18日に売買契約書を締結したと発表した。今後イタリア政府関係機関の承認等の条件充足後に権益譲渡を完了する。なお、トタルは引き続きオペレーターとして50%の権益を保有する。

 テンパロッサ油田はイタリア南部バシリカータ州ポテンザ市近郊の丘陵地帯に位置する陸上油田であり、原始埋蔵量は60億から100億バレルと評価されており、西ヨーロッパ陸上で最大の既発見未開発油田。

 開発対象となる油層の厚さは世界最大級の約2,000メートルに及ぶ。同鉱区ではこれまでに6坑の試掘井が掘削され、それぞれ長期生産テストにより良好な生産性が確認されている。トタルは2002年から同鉱区のオペレーターを務めており、2012年7月にパートナーの英蘭Royal Dutch Shell plc(シェル)子会社と共に最終投資決断を実施し、開発作業を開始している。

 同鉱区の総開発費はプロジェクト全体で約16億ユーロ(約2,000億円、既往費含む)を予定しており、2016年に原油及びLPGの生産開始を見込んでいる。三井物産はMEPITを通じて権益取得代金に加え、権益保有比率に応じて契約基準日以降に発生する開発費用を負担する。プロジェクト全体の可採埋蔵量は約4.4億原油換算バレル、生産量はピーク時で原油が日量約5万バレル、LPGが日量約240トンとなる見込み。MEPITの持分としては可採埋蔵量が約1.1億原油換算バレル、生産量はピーク時日量で約1.3万原油換算バレルとなる。

 今回の案件は三井物産としてイタリアにおける初の資源権益取得となり、欧州域における原油・天然ガス資産の獲得は2011年のポーランド・シェールガス探鉱事業への参画、2012年の英国領北海における原油・ガス生産資産の取得に続くものとなる。

 原油案件は通常、生産量の減退が早い傾向にあるが、今回の資産は50年以上の長期にわたる生産量・収益の貢献が見込まれると共に、巨大な原始埋蔵量を背景とした将来的な原油回収率向上による埋蔵量アップサイドの可能性もあり、同地域における三井物産のエネルギー事業の基盤となることが期待されている。さらに、三井物産は同プロジェクトを通じてトタルとの良好な関係を益々発展できることを期待しているという。

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