液体ヘリウムが枯渇、ハーシェル宇宙望遠鏡が今月中に運用終了

2013年3月19日 10:30

  欧州宇宙機関(ESA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)が運用しているハーシェル宇宙望遠鏡の液体ヘリウムが無くなり、今月中にも運用を終了する見込みだ。

  ハーシェル宇宙望遠鏡は2009年5月に打ち上げられ、ラグランジュ点(L2)を中心とするリサージュ軌道で周回している。直径3.5mの主鏡と赤外線カメラなどを搭載し、これまで3年間以上にわたって、宇宙望遠鏡として初の遠赤外線およびサブミリ波の観測を行った。

  遠赤外線観測を維持するためには、観測機器をマイナス271度(絶対零度に近い状態)に保つ必要があり、ハーシェル宇宙望遠鏡には冷却用の液体ヘリウムが2300リットル以上搭載されていた。しかし、液体ヘリウムは常に蒸発をしてしまうため、運用は3年程度だと考えられていたが、いよいよ今月中に枯渇する見込みだ。

  ハーシェル宇宙望遠鏡のこれまでの観測時間は2万2000時間以上で、これらの膨大な観測データは今後、科学者たちによって分析されるだろう。

  また、ラグランジュ点(L2)の軌道が不安定のため、ESAは5月中にハーシェル宇宙望遠鏡を地球に接近しない、安定した軌道へ投入して廃棄する。

 ■Herschel to finish observing soon
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Herschel_to_finish_observing_soon

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