【日経平均】11日、65円高で12300円台に乗せて8日続伸

2013年3月11日 19:51

 前週末の8日に発表されたアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数は23.6万人増、失業率は前月を0.2ポイント下回る7.7%で市場予測を超える改善ぶり。ポジティブサプライズでNYダウは67ドル高で史上最高値を4日連続更新し、ドル高が進行してドル円は96円台に乗せた。イタリア国債の格下げの影響も限定的で、11日朝方の為替レートはドル円は96円台前半、ユーロ円は125円近辺まで円安が進行。日経平均は79.47円高の12363.09円と、12300円台に乗せて始まった。午前8時50分発表の1月の機械受注が前月比13.1%減と悪くても問題にせず、前場で12400円台にもタッチ。しかし後場は上海市場の下落程度しか悪材料がないのにズルズルと12300円まで値を下げた。それでも大引けにかけて半値戻しで終値は65.43円高の12349.05円で8日続伸。上げ幅はTOPIXのほうが大きく+19.48で1039.98だった。売買代金は2兆8464億円だが売買高は45億株でメジャーSQの8日の48億株に迫り、商いは活発だった。

 東証33業種別騰落率の上位は銀行、証券、保険、陸運、倉庫など。値上がり銘柄が東証1部全体の約75%を占めたためマイナス業種は食料品とゴムの2業種だけで、石油・石炭、医薬品、情報・通信、精密機器などの騰落率が低かった。

 この日は「金融関連の日」になり、東証1部の銀行、証券、保険セクター(日経分類)で値下がりしたのは島根銀行<7150>1銘柄のみだった。騰落率1位の銀行株は売買代金ランキング1~3位にメガバンクが並び、時価総額が巨額なのでTOPIXを押し上げた。みずほ<8411>は10円高、三菱UFJ<8306>は34円高、三井住友FG<8316>は260円高。りそなHD<8308>も64円高で売買代金7位に入った。地銀では八千代銀行<8409>が値上がり率12位に入ったのが目立った。騰落率2位の証券株は野村HD<8604>が26円高で、いちよし証券<8624>、光世証券<8617>、岩井コスモ証券<8707>、大和証券G<8601>などが大きく値上がりしている。騰落率3位の保険株で買いを集めたのは103円高のMS&AD<8725>、78円高のNKSJHD<8630>、97円高の東京海上HD<8766>などだった。

 輸出関連のハイテク銘柄では後場、急にキヤノン<7751>が動意づき、120円高で売買代金6位に入った。電機株はソニー<6758>が44円高、東芝<6502>が26円高と買われたが、シャープ<6753>は鴻海が増資を見送る公算が大になった上に毎日新聞が1000億円規模の公募増資を行うと報じて10円安と軟調だった。目立つところでは日本電産<6594>が250円で大幅高。トヨタ<7203>は90円高で株価5000円回復。ホンダ<7267>が95円高で昨年来高値を更新し、日産<7201>は31円高、三菱自動車<7211>が6円高、マツダ<7261>が3円高など、自動車株は順調だった。

 メジャーSQが過ぎたからもう用済みなのかファーストリテイリング<9983>は600円の大幅下落。ソフトバンク<9984>も30円安だった。ファナック<6954>は30円高で日経平均寄与度は小さかった。

 この日の値上がり率ランキングは、さまざまなテーマの材料株が勢揃い。5位で売買高5位の東京都競馬<9672>、6位で売買高7位の太平洋興発<8835>、10位の澁澤倉庫<9304>は「含み資産関連」で、1位のリゾートソリューション<5261>も不動産関連。2位で売買高11位の油研工業<6393>は「シェールガス関連」、4位の神栄<3004>は「PM2.5関連」。前週末、突然主役に躍り出た「メタンハイドレート関連」はこの日も活発に買われ、三井海洋開発<6269>、日本海洋掘削<1606>が一時ストップ高で大幅続伸するほどの人気ぶりだった。

 3月11日は東日本大震災から2周年。犠牲者の三回忌で、東証でも地震発生の午後2時46分に黙祷が捧げられた。甚大な被害から復旧を果たした福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」は今や大人気スポットで、年間入場者予想を上方修正した常磐興産<9675>は50円ストップ高比例配分で昨年来高値を更新し値上がり率3位に入った。復興・防災関連では、建機レンタルのカナモト<9678>が300円高で値上がり率7位、防災用建築・土木資材の前田工繊<7821>が295円高で、ともに一時ストップ高で昨年来高値を更新している。原発事故を起こした東京電力<9501>は値動きなしだった。

 この日の主役はアベノミクスの成長戦略の一角と目される「カジノ」関連銘柄。8日の衆議院予算委員会でカジノ合法化について安倍首相が「(産業復興に)メリットは十分あると思う」と答弁したのを受け、カジノのインフラを支える機器メーカーを中心に買われた。貨幣識別機の日本金銭機械<6418>は一時ストップ高の144円高、メダル計数機器最大手のオーイズミ<6428>は ストップ高比例配分の100円高で値上がり率8位、貨幣処理機最大手のグローリー<6457>は23円高で、ともに昨年来高値を更新。遊技場の管理システムで実績のあるダイコク電機<6430>は3円高だが前場は買いを集めていた。カジノ合法化法案は超党派の議連が検討を重ねており、日本維新の会が今国会に提出する予定になっている。(編集担当:寺尾淳)

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