【忠田公夫の経済&マーケット展望】BRICSの時代からアメリカ主役の時代に
2013年3月8日 15:55
■「アメリカの時代終わりBRICSの時代」の見方は完全に否定され、今やアメリカ主役の時代に
3月5日NYダウは5年5ヵ月ぶりに史上最高値を塗り変えた。「100年に1度」といわれたリーマン・ショック後、米国の時代は終わり、BRICSが躍進するとの見方が支配的な時期もあったが、今日、BRICSの株価は伸び悩む一方、米国の強さが際立つ。
米株高の背景として、(1)住宅市場の復調、(2)シェールガス革命、(3)グローバル企業の活躍、などが挙げられるが、最大の原動力はリーマン・ショックの直後に実効に移されたFRBによる未曾有の金融緩和策と言える。
07年10月にNYダウが1万4164ドルの高値を記録した当時、10年国債金利は4.65%だったが、これを更新した5日の水準は1.89%に低下し、米主要500社の配当利回り2.3%を大きく下回っている。バーナンキ議長は、「雇用が大幅に改善しない限り緩和を継続する」と発言。早期の緩和終了観測を否定している。
他方、大胆な金融緩和を標榜するアベノミクスの登場で日本株も様変わりしつつある。日本経済は20年近いデフレに痛めつけられてきたが、今回は期待できそうだ。まず、日銀の新体制のデフレ脱却に向けた決意が従来とは異なる。次に、安倍政権の経済再生に向けた取り組みにも積極性がうかがえる。(1)TPP参加に向け、「強い農業」を目指し、健康的な日本食を世界に売り込む、(2)iPS細胞を利用した再生医療・創薬などの分野で世界をリードする、(3)PM2.5などの大気汚染、水質汚染に世界一の環境技術で貢献する、(4)世界初の海洋メタンハイドレートの産出試験を実施する等々、わが国が世界の成長センターになる、という気概さえ感じられる。
日本株は昨年11月半ば以降、一本調子で上昇してきただけに、調整局面は訪れようが、今期から来期にかけて収益の飛躍が期待できる銘柄を厳選し、今後の急落局面で仕込む戦術で臨みたい。(忠田公夫=経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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