【村山貢司の気象&経済歳時記】気象の常識が通用し難い時代、天候デリバティブが必要に
2013年3月1日 13:32
北日本では記録的な大雪になり、青森県の酸ケ湯では積雪が5mを大幅に超えた。本州の山岳地帯でも例年を大幅に超える積雪になっている。雪は交通や生活に大きな影響を与えるが、一方でこの雪が春から夏にかけての貴重な水資源になっている。今年の夏も猛暑が予想されるが水不足の心配はないだろう。
3月初めにも北日本で低気圧が猛烈に発達し、その後も気温の変動が大きくなりそうだ。温暖化による影響は、一般的には気温が高い方にシフトしていくと思われがちだが、初期の段階ではこの冬のように極端な気象現象が増加すると考えてもらいたい。すなわち、今までの気象に関する常識が通用しない時代になっているのである。激しい気象の変動によるリスクが大きい場合には、リスク回避の手段が必要になる。気象庁の長期予報を利用すれば費用はかからないが、精度にまだ問題がある。
有効な手段は、「天候デリバティブ」であろう。例えば、7月から8月にかけて30度以上の真夏日が多ければレジャーや飲料関係の売り上げは増加するが、真夏日の日数が例年の5割以下になったら売り上げが極端に減少する。天候デリバティブはこのような場合に備えて保険をかけておくシステムである。一番効率的なのは猛暑なら減益になるガスと増益になる電力が互いに保険金を出し合うような場合で、この形態をスワップと呼んでいる。
この先数十年は極端な異常気象が多くなるために、リスク回避の方法として天候デリバティブについての知識、検討を行う必要があるだろう。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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