【住宅用蓄電池②】繰り返しの充放電に強い家庭用蓄電池

2013年2月25日 09:21

 蓄電池には、大きく分けて「住宅用」と「業務用」がある。「住宅用」と「業務用」の最も大きな違いは、蓄電できる電気の容量と、蓄電池の本体価格だ。業務量の蓄電池は、住宅用の数倍~数十倍以上の容量があり、ものによっては、停電などで入力電源が断たれた場合でも、一定時間、接続されている機器に電力を供給し続けるUPS(無停電電源装置)などが備えられているものもある。もちろん、その分、住宅用のものと比べると、価格も数倍以上になるが、急な停電や計画停電で業務が混乱するのを防ぐことができる。

 一般的なオフィスや大学などの研究設備、医療機関などで、停電時に機能させたいサーバーやPCなどの必要最低限の機器類のバックアップ用電源としたり、セキュリティーシステムのバックアップ用電源としても活用できる。また、災害時の避難場所や退避場所として注目されているコンビニエンスストアにも設置しておくことで、万が一の場合の電気を確保することで、地域の安全性が高まる。

 一方、住宅用蓄電池の特徴としては、「安価なこと」「軽量なこと」が挙げられる。自然災害や事故などの万が一の事態に、たとえ地域的に停電が起きても、蓄電池に溜まった電気で電化製品を使用できるという状況は、災害時に大きな安心と希望を与えてくれることだろう。実際、2011年の東日本大震災の影響で、蓄電池が注目されるようになり、市販化に向けた研究開発が飛躍的に進んでおり、今後も更なる普及が進むと考えられている。

 そんな中、エリーパワー株式会社が、蓄電容量が6.2kWh、最大出力が3000Wの長住宅用リチウムイオン蓄電池「POWER iE 6(パワーイエ・シックス)」を開発し、2013年3月から発売すると発表した。「POWER iE 6」の最大の特徴は何といっても圧倒的な耐久性にある。正極材料の構成比を調整した結果、なんと10年間で1万2000回の充放電を繰り返しても、実用的な性能を維持するといわれているのだ。

 実売価格は230万円前後になる見込みだが、経済産業省の「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」の対象製品なので、本体価格の1/3、つまり76万円程度の補助を受けられるので、導入時の費用負担は実質154万円程度となる見通しだ。また、家電製品向け通信規格である「ECHONET Lite」に対応しており、家庭向けエネルギー管理システム「HEMS」と連携させることもできる。また、インターネットに接続する機能も備えているので、エリーパワーがシステムを監視しており、異常や問題発生があれば直ぐに対応できるようになっている。

 地震だけでなく、災害を経験したことのある人にとって、電気やガスの有難さは身に沁みていることだろう。非常時だからこそ、電気の明かり一つで落ち着きを取り戻すことも出来る。災害に強い、これからの日本の街づくりのためにも、蓄電池の普及は必要なことなのだろう。(編集担当:藤原伊織)

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