ランドセルの購入価格はなぜ、10年で1万円も高くなったのか?
2013年2月25日 10:26
もうすぐ卒園、入学シーズン。小売店の店頭では昨年末からランドセル売り場が賑わっていたが、この時期になるとすでに売り出し期間を終えている店舗も多い。9割の保護者が入学前の2月にはランドセルを購入し終えているからだ。
ベネッセによるアンケート によると、ランドセルの準備は「入学前年度の12月以前」に済ませていたという保護者が65%を超えて最多。2009年には「12月以前」が40%に過ぎなかったことを考えると、購入時期は年々早期化していることが分かる。
色については男の子で「黒」が63.3%と最多だが、女の子は「ピンク」が最も多く42.6%、次いで「赤」29.1%、「水色」11.5%という結果になった。少し前まで女の子のランドセルといえば赤だったが、今では半数近くがピンクを好んでいる。
もうひとつ目立つのは価格の上昇だ。2000年には26,038円だったランドセルの平均購入価格は、2011年には36,600円まで上昇。10年間で1万円も高くなっている。
また2003年頃を境に、男児より女児のランドセルの購入価格が高くなったことも興味深い。2000年には男児の方が1,100円ほど高かった が、2011年には女児が約2,900円も上回るようになった 。
なぜ女児の保護者は高いランドセルを買うようになったのか。それは少子化に加え、女の子の方がファッション性を重視する傾向にあるからだ。「ランドセルを自分で選ぶ」子どもの割合は9年ほど前から年々高まっている 。2000年には4人に1人だったが、2011年には男児の54.5%、女児の66%が自分でランドセルを選ぶようになった。赤色よりも女児が好むピンクがよく売れるようになった理由もこの辺にありそうだ。女の子の方がファッション面を考慮しデザイン性に優れた商品を選んでいるとすれば、この10年で女児用ランドセルの価格が男児を上回ったのも納得がいく。
ランドセルメーカーも女児の好みに訴えようと、ハートの刺繍を付けたり色のバリエーションを充実させたりして付加価値を高めてきた。メーカーのこうした戦略が功を奏し、少子化とデフレにもかかわらず、平均購入価格を1万円も上げることができたのである。