ニコン「D7100」、ローパスフィルターレスという攻めの選択

2013年2月24日 17:14

 業界関係者やカメラファンの間で期待が高まっていたにもかかわらず、一眼レフカメラのニューモデルが登場しなかった「CP+2013」が閉幕してから半月。ここにきて、ファン待望のデジタル一眼レフカメラ最新モデルがニコンイメージングジャパンから発表された。

 3月にニコン からデビューするのは、APS-Cサイズ相当の撮像素子を採用するニコンDXフォーマットの最上級機となる「D7100」。モデル名から人気モデル「D7000」の後継機と思われるが、ニコン曰く後継モデルではなく、「D7000」は引き続き併売していくということだ。

 小型・軽量ボディに、有効2410万画素という高解像度のCMOSセンサー(23.7×15.7mm )を搭載した「D7100」の最大の特徴と考えられるのは、ローパスフィルターを省略した点だ。ローパスフィルターは、デジタル写真によく表れるモアレや偽色を低減するために、ボディ内部の撮像素子の前面に取り付けられているもの。モアレや偽色の原因となる細かい模様をある程度ぼかしてしまうという大きなプラス効果があるが、それにより解像度が若干低下してしまうというマイナス効果もある。ニコンが昨年発売した35mmフルサイズ一眼レフ「D800E」では、2枚目の光学ローパスフィルターを回転配置することで、1枚目の光学ローパスフィルターの効果を弱め、解像度の損なわないようにするという措置をとり、プロやハイアマチュアユーザーから高い評価を得たが、今回の「D7100」では、そのローパスフィルターを完全に取り除き、より解像感やシャープさを優先する手法をとっている。それを可能にしたのは、画像処理ソフトが進化したことでモアレや偽色は撮影後の簡単に処理できるようになったことが大きいが、今回のDXフォーマットでの光学ローパスフィルターレスという挑戦的な選択は、さらに進化した画像処理エンジン「EXPEED 3」に対するニコンの自信を示しているように思える。

 さらにもうひとつ「D7100」で興味深いポイントは、1.3倍のクロップ機能を搭載している点だ。ただでさえDXフォーマットは、35mmフルサイズのFXフォーマットに比べて、1.5倍の撮像範囲になるが、さらに1.3倍のクロップ機能を搭載することで、望遠効果を活かした撮影が可能となるため、運動会やスポーツ競技、さらには近づくことが困難な動物撮影など場面では有効となる。他にも高密度51点AFシステム、F8対応AFセンサーなど、AF性能も進化させるなど、DXフォーマットのフラッグシップモデルに相応しいハイスペックを実現している。

 ニコンがミドルクラス一眼レフのカテゴリーでニューモデルを登場させてことで、今後はライバルであるキヤノン がどのような出方をしてくるかが注目されるところだ。ここ最近は、ニコンが先手を打ち、その様子を見てキヤノンが新たな一手を打ち出すという流れが続いているように思える。キヤノンに対しては、ニコンの新モデル「D7100」と同じカテゴリーとなるAPS-Cセンサーの「EOS7D」や「EOS60D」といった人気機種の後継機が登場するという噂が昨年末から出ているが、未だに真相はベールに包まれたままだ。コンパクトデジタルカメラが苦戦するなかで、カメラ市場全体を牽引するこの一眼レフカテゴリーにおける2トップの動きが、今年のカメラ業界を占う試金石となることは間違いないだろう。(編集担当:北尾準)

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