百貨店売上高、都市部と地方で明暗はっきり

2013年2月22日 09:31

 日本百貨店協会によると、1月の全国百貨店売上高は5,472億円となり、2か月ぶりに前年同月比プラスとなった 。先月中旬の連休に大雪が重なったことで入店客数は減少傾向だったものの、初売りや福袋、冬のセールが好調だったことに加え、年末からの株価上昇によって高額品が大きく伸びた。

 特に好調だったのは、増床・改装効果のある東京や大阪など大都市圏。東京では全国水準以上に高額品が売れ、美術・宝飾・貴金属が前年比11.4%プラスと二桁の伸びだった。高級時計については多くの店で二桁増を記録した。宝飾品類は横浜でも12.9%増、名古屋は13.4%増。株価が上がると宝飾品が売れるというが、1月の百貨店売上高は分かりやすく株価上昇の恩恵を受けた。

 好調な都市部とは対照的に、地方百貨店は相変わらず苦しい状態が続いている。北海道(札幌を除く)は前年同月比マイナス2.5%、東北(仙台除く)は4.4%、九州(福岡除く)は2.8%のそれぞれ減少となった 。特に北海道地区の宝飾品類はマイナス28.4%と、「気候による変動」が通じないほど売上が低迷している。

 ここ数年、イオンなど大型ショッピングセンターやネット通販の拡大などに押されて、地方百貨店には先の見えない閉塞感が漂っている。生き残りをかけて大手百貨店の傘下に入り、共同仕入れや経営支援を受ける例も目立つ。2004年には北九州市の井筒屋が伊勢丹とのシステム統合を行なった 。2009年には三越伊勢丹ホールディングスが民事再生法を適用された札幌丸井今井を子会社化 。同年には福岡の岩田屋も同ホールディングスの子会社となった。北陸地盤の大和は2010年から、大丸を運営するJ・フロントリテイリングから幹部社員を受け入れ、品ぞろえや店舗運営コストの削減などを学ぶ 。

 長らく地方経済を支えてきた地方百貨店だが、1月の売上高にも現れているように、株価が上がっても売上は不振のままだ。数年後には全国の百貨店の合計売上高がイオン1社に抜かれるとまで言われているが、高級路線を行く百貨店はすでに大都市圏の「名物」になりつつあるのかもしれない。

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