マスコミ四媒体広告費、震災前を上回る水準に

2013年2月21日 20:21

 電通<4324>が、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2012年(平成24年)日本の広告費」を発表。2012年(1~12月)の日本の総広告費は5兆8913億円で前年比103.2%となり、2008年に減少に転じ、2008年(同95.3%)、2009年(同88.5%)、2010年(同98.7%)、2011年(同97.7%)と4年連続して前年実績を下回ったが、5年ぶりに前年実績を上回る結果となっている。

 マスコミ四媒体広告費は2兆7796億円と、震災前の2010年を上回る水準に。媒体別では、「テレビ広告費」が前年比103.0%、「新聞広告費」が同104.2%、「雑誌広告費」同100.4%、「ラジオ広告費」同99.9%と、「マスコミ四媒体広告費」は同102.9%と前年を上回っている。また、「プロモーションメディア広告費」が同101.4%となり、ロンドンオリンピックなどで好調だった「衛星メディア関連広告費」は同113.7%と3年連続で2ケタ増となっている。さらに「インターネット広告費」も同107.7%で、引き続き増加している。

 マスコミ四媒体における業種別では、軽自動車、2BOXなどの広告が増加したことにより「自動車・関連品」が前年比126.9%となったのを筆頭に、スマートフォンサービス、衛星放送、ウェブコンテンツなどが増加した「情報・通信」が同110.5%、「飲料・嗜好品」も美容・栄養ドリンク、乳酸菌飲料、炭酸飲料などが増加したことにより同107.0%となるなど、21業種中16業種で前年を上回っている。一方減少業種は、震災後の大量出稿による反動減の影響を受けた「官公庁・団体」が同30.6%、映画・演劇の案内などが減少し「案内・その他」が同80.2%となるなど、5業種であった。

 2012年の広告市場は、震災による減少の反動、ロンドンオリンピック、衆議院議員選挙など、前年度を上回る要因が多くみられた。そのため、総広告費が増加に転じたことは必然といえるのかもしれない。しかし、マスコミ四媒体広告費が2010年を上回る水準に達していることは、前年の落ち込みによる反動だけではなく、四媒体における広告市場が下げ止まり傾向にあることを示唆するものであろう。今年の広告費増となりうる特殊要因は、マスコミだけが盛り上がっているWBC程度のものである。下げ止まり傾向を維持し、回復傾向へと繋げられるか、勝負の年と言えるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)

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