新型クラウンは「軽」至上主義へのアンチテーゼなのか
2013年2月18日 13:12
日本自動車工業会は1月末に2013年の乗用車(軽は除く)の国内需要見通しを258.7万台、前年比14.2%減になると発表した。好調な軽自動車とは対照的に、乗用車にとっては厳しい状況が続きそうだ。
そんな中でも、昨年末に衝撃的なデビューを飾った14代目クラウンは好調のようだ。5年ぶりのフルモデルチェンジとなったが、その斬新なデザインは大きなインパクトを与えることに成功したと言える。トヨタ自動車<7203>の発表によると、デビューから約1ヶ月で受注台数が約2万5000台に達したという。これは、4000台としていた当初の月間販売目標の約6倍となる数字だ。受注台数の約66%をハイブリッド車(HV)ということで、HVモデルの排気量を3500ccから2500ccに減らし、燃費性能を6割以上も向上したことが評価されているようだ。
一方、外国の高級車は好調を維持し続けている。クラウンにとっては最強のライバルとなるであろう、ドイツの高級車メルセデス・ベンツは、12年は前年比26.2%増となる4万1901台を販売するなど、過去20年間で最高の伸び率を記録しているほどだ。アウディやBMWといったドイツの高級車も相変わらず人気が衰える兆しが一向にない。
「車は軽の時代」と言われるほど、車選びには経済性やコンパクトさを最も重視する傾向が強くなっているのが、昨年からのトレンドだ。「いつかはクラウン」というコピーが浸透していたような、車がステータスシンボルとなっていた時代は完全に過ぎ去り、経済性や利便性を重視する層が主流になってきたことで、人々の車に対する価値観もすっかり変わってしまった。しかしコンパクトにはなったものの14代目クラウンは、そんな時代の流れに意義を唱えるかのように、あまりにも挑戦的だ。クラウンやベンツのような人気のハイブランド車は、モデルチェンジの度に環境性能や経済性を進化させつつ、その高級感は維持している。やはりこのクラスの車は、時代が移り変わったとしても「憧れ」の存在であり続けて欲しいものだ。(編集担当:北尾準)