豪州のエネルギー事業に日本企業も参画
2013年2月17日 09:18
豪州は世界第2位の鉄鉱石の輸出量を誇っており、またOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で数少ないエネルギー資源輸出国の1つでもある。特に西豪州は、豪州の天然資源のそのほぼ全量が産出されており、LNG、金、原油、ニッケル、アルミナなどの天然資源の宝庫として国際的に高まる資源需要の追い風を受けて、現在、急速な経済成長を遂げている。西豪州における電力需要も、今後10年に亘り年間平均約3パーセントの拡大が予測されている有力市場となっているようだ。
そのような状況下、住友商事<8053>と豪州住友商事は、関西電力<9503>と豪州のブルーウォーターズ発電所の一部権益を取得し、発電事業運営に参画。今後は関西電力と共同で事業運営を進めていくという。同発電所は、西豪州パースから南に約180キロメートルの場所に位置する、合計出力416MWの同州最大級の石炭火力発電所。2009年の商業運転開始以降、西豪州に安定した電力供給を行う基幹発電所として、順調な操業を続けている。住友グループは、同発電事業権益をグリフィン・エナジー社(豪州)によるオークションを通じて買収。最終出資元は住友グループ 100パーセント持ち株子会社Summit Southern Cross Power Holdings Pty Ltdが担うという。
すでに住友グループは、2009年に西豪州クウィナナ発電所の権益を取得しており、発電事業権益取得は同州における2件目となる。両発電所の出力合計は西豪州の電力系統における電力供給能力の約13パーセント(約80万世帯分の必要電力)を占拠することとなり、今回の参画により住友グループが西豪州電力市場における主要な民間発電事業者となるという。今後はかねてより培ったクウィナナ発電所の事業運営ノウハウをブルーウォーターズ発電所の運営にも活かし、両発電所の効率的な運営を実施。拡大する西豪州電力市場と同社会に対して更に貢献していく構えだ。
また、日本商社の中でも、グローバルに自然エネルギーを利用した発電事業を展開する丸紅<8002>は、大阪ガス<9532>、豪州エネルギー会社のAPAグループと共に豪州の風力発電事業「ハレット4プロジェクト」の運営会社ブラウン・ヒル・ノース社の株式を100%取得し、2009年より同プロジェクトに参画している。
現在、豪州のエネルギー産業は国際環境や需給構造のめまぐるしい変化、またそれらへの政策対応の影響を受けて、大きく転換しつつある。今後も豪州の更なるエネルギー事業の拡大を狙うべく、事業環境を見極めながら、日系企業の進出が期待されるところだ。(編集担当:宮園奈美)