【アナリストの眼】一方的に円安へ動くことは難しそうだ、為替次第で不安定な展開

2013年2月17日 08:58

<相場展望>(18日~22日)

  来週(2月18日~22日)の株式市場は、やはり為替と先物の動き次第であり、高値圏でやや不安定な動きとなりそうだ。為替が1米ドル=95円台を目指すような展開になれば、日経平均株価も上値を試すだろう。ただし一方では買い残が高水準であり、高値警戒感も意識され始めている。為替の動き次第では一旦は利益確定売りが優勢になる場面もあるだろう。

  為替に関しては『アベノミクス』の効果に加えて、米国の金利上昇や日本の貿易赤字拡大なども要因として、基本的には米ドル高・円安方向という見方が優勢だ。しかし国内外の要人発言に対して神経質な反応が目立ち、前週はG7緊急共同声明の文言の解釈や日銀の新総裁候補に対する思惑を巡って乱高下する場面があった。そして15日に開幕したG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で日本に関する具体的言及はないだろうとの報道を受けて、事実上の円安容認との観測が広がり15日の海外市場では1米ドル=93円台半ばに円が下落した。このため週初18日の株式市場は堅調なスタートとなりそうだ。

  しかし来週も日銀の新総裁人事を巡って思惑が交錯すること、20日の日本1月貿易統計や米FOMC議事録(1月29日~30日分)内容が注目されること、22日の日米首脳会談の内容が注目されること、24日~25日のイタリア総選挙が接近していること、そして3月1日からの米国の自動的な歳出削減措置の期限を控えていることもあり、一方的に円安方向に動くことは想定し難い。要人発言やイベントに対する思惑などで乱高下しやすい状況だろう。

  また前週も指摘したように、日経平均株価の動きを見ると高値圏でやや荒い展開が目立ち始め、11月中旬を起点とする上昇第一波の最終局面という印象も強めている。個人の買い意欲が強まっているとはいえ、買い残が急速に増加して高水準であり、高値警戒感も意識され始めている。一旦は整理も必要な局面だろう。10~12月期の企業業績発表が一巡したことも材料難に繋がり、高値圏の銘柄には利益確定売りが優勢になる場面もありそうだ。チャート面では25日移動平均線が意識される展開だろう。

  ただし米国景気回復に対する期待感、米国が牽引する形での世界的な景気回復に対する期待感、そして脱デフレ・日本経済再生に向けた『アベノミクス』に対する期待感が後退しているわけではない。押し目買い意欲も強いと考えられるだけに大勢として強基調の流れに大きな変化はなく、調整しても一時的・限定的な自律調整の範囲で基調転換には至らないだろう。もちろん為替の円安が進行した場合や、米国市場のダウ工業株30種平均株価が史上最高値を突破した場合には、日本株にとって支援材料となるだろう。

  注目スケジュールとしては、18日のユーロ圏12月経常収支、19日の日本12月景気動向指数CI改定値、独2月ZEW景気期待指数、米2月住宅建設業者指数、20日の日本1月貿易統計、米1月住宅着工件数、米FOMC議事録(1月29日~30日分)公表、21日のユーロ圏2月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米1月消費者物価指数、米1月中古住宅販売、米1月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米2月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米2月製造業PMI速報値、22日の独IFO業況指数、日米首脳会談などがあるだろう。その後は24日~25日のイタリア総選挙、26日と27日のバーナンキ米FRB議長の議会証言、27日~28日のEU議会本会議、3月5日の中国全国人民代表会(全人代)開幕、7日のECB理事会、8日の米2月雇用統計などが控えている(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【株式評論家の視点】レナウンは低位株の巻き返しの突破口役として期待が高まる(2013/02/12)
【株式評論家の視点】トクヤマはセメント部門が好調に推移、今期業績の上方修正を見直す(2013/02/12)
急騰銘柄を徹底予想する日刊株式投資情報新聞(メルマガ無料)好評!会員が急増中(2012/07/20)
プロの記者が急騰銘柄を徹底予想!日刊株式投資情報新聞(無料)メルマガ登録受付中!(2012/07/20)

関連記事

最新記事