宇宙望遠鏡ケプラー、科学観測を再開

2013年2月6日 12:00

  アメリカ航空宇宙局(NASA)は1月29日、休止していた宇宙望遠鏡ケプラーの科学観測を再開したと発表した。

  ケプラーは、リアクション・ホィールと呼ばれる、円盤を回転させて姿勢を制御する装置の1つ(#4)に、想定以上の摩擦が検出されたため、NASAは1月17日リアクション・ホィールを停止させ、潤滑剤が再度行き渡るのを待つことにした。その間、ケプラーはスラスターを使って姿勢制御を行っていたが、スラスターではリアクション・ホィールほどの精密な制御はできないため、科学観測は休止されることとなった。

  そして太平洋標準時1月27日11時30分(日本時間28日4時30分)から復帰に向けた運用に入り、28日17時ちょうど(29日10時ちょうど)、ケプラーは科学観測を再開した。今後、科学観測は続けつつ、リアクション・ホィール#4の挙動を注意深く見守っていくとしている。

  ケプラーはNASAが2009年に打ち上げた宇宙望遠鏡で、トランジット法と呼ばれる、恒星の前を惑星が通過したときの明るさの変化を検出する観測手法を用いて、太陽系以外に生命が発生しそうな星があるかを調べることを目的としている。より具体的には、生命が生存可能な範囲(ハビタブル・ゾーン)の中に、地球に似た大きさ、あるいはそれよりも大きな惑星がどれぐらいあるか、あるとすればその星や軌道はどんな形をしているかを調べるほか、ホット・ジュピターと呼ばれる恒星のすぐ近くを公転している木星のような巨大なガス惑星も調査する。

  すでに当初予定していた観測は完遂しており、現在は延長ミッションの最中にある。これまでに2,036個の恒星と、その周囲を周る2,740個の惑星と思われる候補を発見している。

 写真=NASA

 ■NASA - Kepler Mission Manager Update: Kepler Returns to Science Mode
http://www.nasa.gov/mission_pages/kepler/news/keplerm-20132901.html

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