高い経済成長をみせ、重要度の増すサブサハラ市場
2013年1月28日 11:00
市場の潜在能力や資源の豊富さなどが最後の未開発大陸として注目を集めながら、これまでも政治や情勢の不安定さが常に障壁となって思うような成長を遂げられずにいたアフリカ諸国。近年になって漸く発展への兆しが見えてきたものの、今回のアルジェリアのテロにより、アルジェリアのみならずアフリカ全体への投資が縮小されるのではないだろうか。
しかし、その潜在能力は測り知れず、アフリカ諸国が重要な市場であることに変わりはない。特に、サブ・サハラ・アフリカと呼ばれるサハラ砂漠以南の国々は、その高い経済成長率もあって、益々重要度が高まっている。
その筆頭は、アンゴラであろう。ダイヤモンド等の鉱物資源だけでなく、農業や漁業等の潜在能力も高いとされるアンゴラは、2002年に内戦が終了。その後、実質GDP成長率は2004年に11.2%、2005年は20.6%、2007年には22.6%と高い成長率を記録し、2001年から2010年の年間平均GDP成長率は11.1%と中国の同10.5%を上回って世界第一位となっている。2009年以降は世界的な金融危機の影響を受けて低迷し、2009年には同2.4%にまで下落したものの、すでに回復基調をみせており、IMFの予測では、2012年のGDP成長率が8.0%、2013年も6.8%になるとされている。この原動力となっているのが、石油産業である。サプサハラではナイジェリアに次ぐ産油国であるアンゴラには、昨年、国際石油開発帝石<1605>が同国の原油生産鉱区の権益取得に参画するなど、日本企業も進出を始めている。しかし他企業も積極的であるかと言えばそうではなく、一向に動向は聞こえてこない。一方で、昨年10月に日立建機<6305>から、グループ会社の山梨日立建機がアンゴラから20台もの対人地雷除去機を受注したと発表している。すでに12台の対人地雷除去機が導入されていたというから、耐久性や安全性などの面で日本の技術が高いと評価された結果だと言えるであろう。この大量受注が象徴するように、社会インフラは未だほとんど未整備だと言えるのではないだろうか。そこに日本企業の商機がある。石油依存を回避したいアンゴラ政府との思惑も一致し、相互利益となる。欧米石油メジャーに利益を吸い上げられる石油産業だけではなく、真にアンゴラの国民の為になる産業でも積極進出してもらいたいものである。
その他、モザンピークでは世界最大のガス田が発見され、今後の経済発展が期待されている。またコートジボワールにおいては、国内情勢の安定化、ビジネス環境の改善、復興需要などにより2013年の実質GDP成長率は9.0%になると予測されており、ジェトロも同国アビジャン事務所を増員し企業支援体制を強化している。
今年6月には、第5回アフリカ開発会議が横浜で開催される。この会議に今回のテロの影響があることは否めないであろう。しかし、2008年に実施された前回、日本政府は民家投資を2012年までに倍増させると公約し、実際に目標を上回る成果が見込まれるという。こうした流れをせき止めるべきではないだろう。確かに情勢が不安定であることは否めず、今回のテロも痛ましい結果を生んでいる。しかし、北アフリカとサブサハラは情勢が異なる。アフリカ全体を危険視して消極的になるのではなく、個別具体的に情勢を見極め、積極姿勢でアフリカ市場と向き合うべきではないだろうか。