【相場熟者が答える投資相談】日本航空、全日空は一旦、売却して成り行きを見守るところ

2013年1月19日 17:06

  【問い】 日本航空 <9201> と全日本空輸 <9202> の両方を保有しています。今後の見通し対処方法についてお願いします。

  【答え】 1月18日(金)は日本航空が35円安の3650円と反落。全日本空輸が2円安の179円と3営業日続落。全33業種中、唯一空運業が下がりました。

  米ボーイング787型機にトラブルが相次いでいることを嫌気した売りが出ています。今月7日に米ボストン・ローガン国際空港で、駐機中だった日本航空の最新鋭旅客機ボーイング787-8型のバッテリーが発火。8日にこの問題を受け、国交省がバッテリーの外見や動作確認を行うよう指示。16日には全日本空輸の山口宇部発羽田行きのボーイング787型機が機内で煙が発生し高松空港に緊急着陸したのを受け、17機ある同型機全ての運航を一時見合わせることを決めました。日本航空も同日保有する同型機7機(2機は点検中)の運航見合わせを決めた。同日、米連邦航空局は、ボーイング787型機にバッテリーの火災リスクがあるとして、航空会社に対し、一時的な運航停止を命じる方針を発表と、燃費性能が高い米ボーイング787型機に相次ぎトラブルが発生し、同機が当面使用できなくなったことを受け、業績への影響が懸念されています。

  国交省によれば、ボーイング787型を日本航空は7機、全日本空輸は17機を所有しているとのことですが、日本航空では19-22日に8便が運航停止。全日本空輸では19-22日に52便が運航停止するもようです。原因究明に向けたバッテリーシステムの調査などが続いていますが、バッテリーのみならず全体のシステム設計に問題があれば、調査が長期化するリスクが高まるうえ、未納入機のキャンセルなど影響が拡大する可能性も指摘されています。とりわけ、ANAは「首都圏発着枠の拡大」と「B787型機の導入」を国際線事業拡大の両輪と据えており、事態が長期化した場合、日本航空より全日本空輸のほうが経営に及ぼす影響をは大きいと見られています。

  足元の業績は、日本航空は今3月期売上1兆2150億円(前期比0.8%増)、営業利益1650億円(同19.5%減)、経常利益1550億円(同21.6%減)、純利益は1400億円(同25.0%減)を見込んでいます。一方の全日本空輸は今3月期売上1兆4700億円(前期比4.1%増)、営業利益1100億円(同13.4%増)、経常利益700億円(同2.3%増)、純利益は400億円(同42.0%増)を見込んでいますが、業績への影響を見極めるところです。

  日本航空の株価は、1月10日安値3550円と下げて11月26日安値3530円にほぼ並んで往って来いとなったことで、下げ渋る動きとなっています。一方、全日本空輸の株価は、1月7日高値186円、同16日高値186円と買い直されて下落しており、やや調整色を強めています。原油先物の上昇に円安進行も足かせ要因として意識され始めているようですから、事態が短期的に解決されるか問題が長期化するか見極めるところです。日本航空は25日移動平均線を上値に下値もみ合い。全日本空輸は175円で下げ止まるか注意深く見ていくところです。日本航空は3500円を割り込むようだと、手仕舞い売り。全日本空輸はいったん手仕舞い売り、186円を抜けて上値を試す動きを待ってから買い直す気持ちで動向を見守る方が良いでしょう(株式評論家・摩周湖)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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