【話題】活発化する日本企業の東南アジア市場進出
2013年1月18日 09:29
■「地産・池消」市場で魅力、中国一辺倒回避
日本企業がASEAN(東南アジア諸国連合)など東南アジア市場への進出を活発化させている。東南アジア諸国は経済成長が著しく、単なる生産拠点ではなく「地産地消」市場としての魅力が高まっているうえに、日中関係悪化に伴って中国一辺倒に対するリスクを分散する狙いもある。
中国市場では、すでに人件費が急速に上昇して低コスト労働力の確保が困難になっている。中間所得・富裕層は急速に拡大したが、一方では「一人っ子政策」の影響で今後、日本を上回るペースでの急速な高齢化と人口減少も予想されている。さらに日中関係悪化に伴う反日行動というリスクや、社会格差拡大に伴って権力体制の不安定さが増すというリスクも高まっている。
これに対して東南アジア市場は、日本の製造業が早くから進出しているタイをはじめ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどは概ね、人口に占める若年層の比率が高く、今後も人口の増加が続くうえに、経済成長に伴って中間所得層の増加と購買力の拡大も期待されている。インドネシアのように天然資源が豊富な国もある。このため日本企業にとっては、低労働コストの生産拠点としてはもちろん、将来が有望な消費地としても魅力的な市場となっている。
■安倍総理訪問でアジア関連銘柄に弾み
こうした東南アジア諸国を重要視する形で、安倍晋三首相は就任後初めての外国訪問として16日から19日まで、ベトナム、タイ、インドネシア3カ国を歴訪している。すでに年初から、麻生太郎副総理・財務・金融相がミャンマー、岸田文雄外相がフィリピンやブルネイなどを訪問して経済支援を表明しており、こうした外交戦略の背景には、東シナ海や南シナ海を巡る領有権争いで日本と同様の立場にあるフィリピンやベトナムなど、中国周辺国との関係を強化して中国を牽制する狙いがあるとされている。同時に日本企業の東南アジア市場進出を後押しする狙いもあるだろう。
対象となるセクターは、港湾や電力などのインフラ整備関連や、自動車、自動車部品、家電、電子部品、石油化学製品、家具、衣料品、生活雑貨品、加工食品などの生産拠点にとどまらず、百貨店、総合スーパー、コンビニエンスストア、専門店、外食・ファストフード、ネット通販、SNS・ゲーム・エンタテインメント、物流、金融・不動産などの消費・サービス分野まで、あらゆる分野に及びそうだ。
ただし東南アジア諸国では、国ごとに宗教・文化・慣習などの違いがあり、政情が不安定になるリスクや政策が一転するリスクが付きまとう。中間層の増加に連動して今後の労働コストの上昇も予想される。したがって政情の安定、民主化・自由化の進展、さらに港湾・空港・道路・電力などインフラ整備の進展が重要なポイントになり、日本企業が進出する場合には国ごとにきめ細かな戦略も必要になるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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