【話題】安倍政権で注目される対中国政策
2013年1月14日 07:25
■中国経済底入れ感でリスク後退観測も、国内に火種で尖閣は要注意
株式市場で中国リスクに対する警戒感がやや後退しているようだ。中国経済が底入れ感を強めていることや、反日行動が落ち着いていることなどが要因と考えられるが、日中関係の改善は当分期待できないだろう。中国に対する海外からの投資にも変調の兆しが見え始めている。中国自身が国内の不満の高まりで政治的な不安定さを増す可能性もあり、中国リスクには引き続き注意が必要だろう。
岸田文雄外相は10日のフィリピン・デルロサリオ外相との会談で、中国を念頭に海洋安全保障分野での連携強化を確認し、日本がフィリピン沿岸警備隊の能力強化を支援する考えを示したと報道されている。巡視船10隻を供与する方向で調整している模様だ。年初の2日~3日には麻生太郎副総理・財務・金融相がミャンマーを訪問して、円借款再開などの経済支援を表明している。安倍晋三首相も就任後初めての外国訪問として、16日から19日までベトナム、タイ、インドネシア3カ国を歴訪する予定だ。こうした動きの背景には、ASEAN(東南アジア諸国連合)など中国周辺国との関係を強化して、中国を牽制する狙いがあるとされている。
こうした中国包囲網づくりの動きに対して中国政府も10日、尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺での監視活動の常態化を決め、日本に対する牽制を強めている。また10日昼には、中国軍の戦闘機など数機が日本の防空識別圏に入ったのを航空自衛隊が確認したため、那覇基地からF15戦闘機を緊急発進させるなど緊張状態が続いている。
日中関係の悪化は日本経済だけでなく、中国経済にとってもマイナスということは明らかだが、国内の不満を仮想敵国など外国に向けさせる政治手法は世界共通の常套手段である。中国政府にとって国内の社会格差拡大、汚職問題、さらに一党独裁、情報統制、言論統制などに対して高まる民衆の不満を、反日行動に向けさせるための強硬な姿勢や挑発的な行動は今後も続くだろう。
これに対して、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権を巡って中国と争うフィリピンなど、東シナ海や南シナ海を巡る領有権争いで同様の立場にある諸国が中国包囲網を敷くことで、一段と緊張が高まる可能性もあるだろう。日中関係改善に対する安易な楽観論は禁物であり、特に影響の大きい日本企業にとっての中国リスクには引き続き注意が必要だろう。(株式評論家・摩周湖)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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