日立造船、世界最大のシールド掘進機が完成 直径17.45m

2012年12月26日 12:49

 日立造船は25日、米シアトル市向けの世界最大となる直径17.45m泥土圧シールド掘進機1機(全長:約110m、重量:約7,000トン)を、日立造船の堺工場(大阪府堺市西区)において完成させたと発表した。

 同シールド掘進機は、日立造船の米国現地法人であるHitachi Zosen U.S.A. Ltd.(ニューヨーク州)が、昨年にDragados Usa,Inc.(ニューヨーク州)・Tutor Perini Corporation(カリフォルニア州)JV(JV名:Seattle Tunnel Partners)より、ワシントン州シアトル市内の99号線地下トンネル工事向けに受注したシールド掘進機。シアトル市内99号線の老朽化した高架橋を地下トンネル化するため、Alaskan Way Southから約2,800mを掘進する計画。

 同機は、市街地中心部の地下を掘削することから地上への影響を極力少なくする工夫をしており、シールド掘進機外径とセグメント外径の間に生じる空間に本体後部から裏込剤を確実に注入する装置や、掘進停止中でもカッター圧力室内の土圧を監視し制御する装置を採用している。また、今回新たにディスクカッター交換装置を開発し、カッター圧力室内の土圧を保持したまま機内側からディスクカッターや先行ビットを交換できるようにすることで、地盤崩壊防止と交換作業の工程短縮ともに、圧気下での作業を避けることで作業の安全性も配慮している。

 日立造船の堺工場は、シールド掘進機を中心とする産業機械製造の専用拠点とするため、2008年に新工場(幅:32m、長さ:170m、高さ:34m)を新設するなど最新設備を備えた工場だが、同機の組立は、その巨大さから、大型重量物のハンドリングと積み出しに便利な旧造船ドックである2号ドック(幅:64m、長さ:410m、深さ:12m)内で行われた。

 同機の現地への輸送は、来年3月上旬に堺工場から海上輸送を行い、シアトル港には3月下旬に到着する予定。輸送にあたっては、現地での最終組立の工程短縮と品質確保のため、立坑までの内陸輸送及び立坑内荷卸しを考慮して可能な限り大きなブロックとして、1個あたり最大約900トンのブロックに解体し、900トンクレーンを2基実装する重量物運搬船で輸送する。シアトル港到着後は、特殊低床トレーラーにて現地まで陸上輸送を行い、現地組立を経て6月頃に掘削開始する予定。

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