ヤマハ発、低価格な全方位タイプスカラロボット「YK500TW」
2012年12月25日 11:00
富士経済が2012年5月に発表した産業用およびサービスロボットの市場動向によると、産業用ロボットの世界市場は、2011年は対前年比115.1%の3,996億円、2020年には対11年比166.2%となる6,642億円に拡大すると予測されている。この伸長の要因としては、ロボット産業が労働力の減少や作業負荷の軽減などから、成長が期待されているからだと考えられる。
そのような中、ヤマハ発動機 <7272> は、天吊構造と旋回アームにより円柱形状の広い動作範囲を持つ、低価格なアーム長500mmのヤマハスカラ(水平多関節型)ロボット全方位タイプ「YK500TW」を開発し、12月1日より発売している。
今回は発売された「YK500TW」は、従来のスカラロボット全ての利点を備えながら、より優れたサイクルタイムと、より大きな動作範囲により、新しいアプリケーションの可能性を提供できるモデルとして開発されたロボット。精密組み立てが要求される電気・電子部品や車載用電子部品などの組み立て、移載、搬送など多様な工程・用途に対応可能だという。特長としては、天吊で、第2アームが第1アームの下に配置された独特な構造を持ちながら低価格に設定されている為、ローコストで手軽に自動化を実現できるという。また動作平面範囲は、アーム長500mmの同社従来機種に対し約120パーセント向上。動作範囲の中心には、デッドスペースが無くφ1,000mm×130mmの円柱形状上の動作を実現している。さらに全高も392mmと低くシステム設計の自由度も向上している。
同製品は、従来の高速・高精度・高耐久性・低価格をコンセプトとするヤマハスカラロボットの特徴を受け継ぎながらユーザーの選択肢の拡大や、生産設備の最適化に貢献することで、今後のスカラロボット市場の拡大に貢献していくことが期待されている。同社では、初年度100台の販売計画を掲げている。
近年は、スマートフォンやタブレット型端末などのハンディタイプの電気・電子製品の普及や小型電子機器の需要増加により、特にアジア圏の生産拠点を中心に作業効率の改善、品質の安定などの要求が急速に高まってきている。今後、人間の能力を最大限に生かすためにも、ロボットを使用した有用な技術を実用化できる研究がますます進むことに期待したい。