日本ペンクラブ、グーグルの図書館プロジェクトに協力することで合意
2012年12月18日 12:00
日本ペンクラブと米グーグルは17日、「Google 図書館プロジェクト」においてデジタル化された日本語の作品および将来においてデジタル化される可能性がある日本語の作品の利用について、双方の基本的立場を尊重しつつ建設的な協力関係を構築していくことで合意したと発表した。
グーグルの図書館プロジェクトでは、米国の図書館においてデジタル化された書籍に著作権保護期間内の日本の出版物が含まれているが、そのことについて日本の著作権者から懸念が示されていた。
しかし、今回の合意の中には、Googleブック検索でユーザーが検索した際に表示されるスニペット(数行の抜粋表示)を、今後日本ペンクラブに所属する著作者もしくは当該作家の書籍を出版する出版社(著作権者)から要請があった場合には速やかにグーグルが削除するという項目が含まれる。また、作家・出版社から除外登録をうけた書籍については、今後の図書館プロジェクトでの新たなスキャニングの対象から除外するとしている。そのため、今回の合意は著作権者らの懸念を解決し、グーグルとの協力関係を構築する出発点となるものとなる。
グーグルでは、図書館プロジェクトの開始当初から、著作権者から通知を受けた場合にスニペットを削除またはスキャニングから除外する対応を行っていたが、今回改めてグーグルの責任においてこれらが確実に実施されることを確認した。またグーグルは、同社が保有するデータを最善の方法と責任をもって管理するとしている。これらにより、日本ペンクラブは、「グーグルによる著作物の利用について、著作者によるより広範なコントロールが実現されると考える」とコメントしている。
さらに、今回日本ペンクラブとグーグルは、図書館プロジェクトに関連して今後法的手段をもって争わないことを約束し、日本ペンクラブの会員が今回決めた両者の合意に疑義を呈した場合においては会員に対して理解を求めるよう努力するとしている。
日本ペンクラブは今回の合意について、「日本の豊かな出版文化のもとで生み出される数多くの書籍を、日本はもとより世界中の読者により広く届けるための一助となることを期待している」とコメントしている。
なお、グーグルは、図書館プロジェクトとは別に著作権者からの要請がある場合に限り、スキャンされたデジタルデータを利用してGoogle Play上で電子書籍を販売する仕組みを提供する。