【アナリストの眼】アスカネット、注目のエアリアル事業は量産技術確立に注力

2012年12月17日 09:39

<社長インタビュー交えた業績&株価分析>

■ページ切れ目なく真っ平らに開く新製品「ZENレイフラット」に高評価

  アスカネット <2438> (東マ)の福田幸雄・代表取締役CEOに、今期(13年4月期)の業績見通しと今後の事業戦略を聞いた。

  葬儀社向け遺影写真などのメモリアルデザインサービス、個人向けオリジナル写真集製作などのパーソナルパブリッシングサービスを主力としている。遺影写真は葬儀関連、写真集製作はウエディング関連が主力市場であり、景気変動の影響を比較的受けにくいことが特徴である。また新規分野のエアリアルイメージング事業では、空中結像技術を用いた新ディスプレイの量産化を進めている。

  12月10日に発表した第2四半期累計(5~10月期)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比1.3%減、営業利益が同32.0%減、経常利益が同31.2%減、純利益が同25.5%減だった。メモリアル関連での葬儀件数の減少やハード機器買い替え需要の減少、パーソナル関連での海外向け売上の減少、さらに減価償却費や広告宣伝費の増加などで減収減益だった。ただし福田幸雄・代表取締役CEOによると「パーソナル関連の売上原価率が想定ほど上昇しなかった」ため、利益は会社計画を上回った模様である。

  通期見通しは前回予想を据え置き売上高が前期比5.5%増、営業利益が同18.0%減、経常利益が同18.7%減、純利益が同14.4%減の増収減益見込みとしている。葬儀件数の減少、為替の円高影響、減価償却費の増加などがマイナス要因の模様である。通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が44.3%、営業利益が36.2%、経常利益が36.3%、純利益が36.2%だが、葬儀は冬場に件数が増加し、ウエディングや卒業式・入学式なども含めて下期偏重型の需要構造である。

  福田幸雄・代表取締役CEOは、「上期の葬儀件数はかつてないほど減少したが、下期の葬儀件数は通常ペースを見込んでいる。国内のパーソナル関連は新製品効果も寄与して好調であり、エアリアルイメージング事業の研究開発費も想定を下回る模様」、としている。通期下振れの可能性は小さいだろう。

  さらに福田幸雄・代表取締役CEOは、今後の事業戦略について、「安定ストック型ビジネスモデルとしてメモリアルデザインサービス、チャレンジングビジネスモデルとしてパーソナルパブリッシングサービス、そして市場創造ビジネスとしてエアリアルイメージング事業を展開する」、としている。

  パーソナルパブリッシングサービスでは新製品「ZENレイフラット」が注目されそうだ。ページの切れ目がなく真っ平らに開く製本方法で、福田幸雄・代表取締役CEOは「配布したサンプル品に対する反応は良好であり、特にウエディング関連や建築関連で需要が期待できそうだ」としている。またエアリアルイメージング事業に関して、福田幸雄・代表取締役CEOは、「量産化技術の確立に時間を要しているが、試作品の販売を開始している。特に空中タッチパネルに対するニーズが高く、ガラス素材以外に樹脂やフイルムでの量産化技術も検討する」、としている。主力事業の収益は比較的安定しており、新製品や新技術による上乗せで中期的な収益拡大が期待されるだろう。

  株価の動きを見ると、10月29日の戻り高値739円から反落して調整局面となった。第2四半期累計の減収減益も嫌気された模様で、12月13日と14日には直近安値となる630円まで調整した。ただし14日の終値では前日比5円高と5営業日ぶりに反発しており、失望売りが一巡した可能性もあるだろう。12月14日の終値637円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS87円37銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は4.1%近辺、実績PBR(前期実績のBPS723円34銭で算出)は0.9倍近辺となる。

  日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面のようだ。ただし第2四半期累計の減収減益や通期の減益見通しに対して過剰反応の印象が強く、足元では失望売りが一巡した可能性もありそうだ。指標面での高配当利回り、そして中期的な成長期待に見直し余地があり、反発が期待されるだろう。エアリアルイメージング事業の動向にも引き続き注目しておきたい。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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