【企業訪問】産業機械部品を生産する「株式会社 協栄ホーニング」の渡辺良和社長に聞く

2012年12月12日 10:48

株式会社 協栄ホーニング 渡辺 良和代表取締役社長

■1本からの発注に即応する加工力で1週間の短納期を実現したオンリーワン企業

 モノ作りの街、愛知県豊田市に本社を置き、アルミ、鉄、ステンレス製の『ホーニングパイプ』、『スライドシャフト』、『スライドパイプ』、『アルミローラー』などの産業機械部品を生産する「協栄ホーニング」。1本からの指定サイズで欲しいといった単品注文にも短納期で応える利便性を強みにユーザーは全国に広がっている。同社の渡辺良和社長を訪問した。

 渡辺社長(=写真)が、手にされているピカピカに光るパイプが『ホーニングパイプ』である。材料のアルミ、鉄、ステンレスなどの素材を研磨・メッキし切削加工したものである。精密な産業機械部品として製造業にはなくてはならないものである。

 この点を渡辺社長にもう少し詳しく説明をお願いしよう。「そうですね、ひとことで言えば製造に関わる業界はすべてお客さまです。とくに、極めて高い精度が要求される製薬会社や食品会社、印刷会社などの工場が使う産業機械向け部品としてのニーズが高いですね。これまでには消防車、火力発電所、人工衛星などの納入実績もあります。最近では、震災の復興需要からプラント関係の部品、がれき処理の焼却炉のセンサー関連用などの注文も増えています。ときには、個人の方からミニSL部品として注文をいただいたこともあります。このように、注文をいただく先は非常に広範囲です」。北は北海道から南は沖縄まで日本全国のモノ作り企業が顧客対象ということだ。

 気になる価格について渡辺社長に聞くと、「1本、数千円からです。ときには送料代のほうが高い場合もあるほどです。それでもどうしても必要ということで注文をいただきます」と微笑む。もちろん、高額のケースもある。「これまで、高額な製品では包装用フィルム製造業者からの注文でアルミローラーに1万5000個ほどの穴をあけるハイレベル加工技術を施した1本100万円の製品でした」という。

 金属加工業界は、材料業者、旋盤・フライス・切削加工などの加工業者、メッキ業者といったそれぞれの加工工程・専門業者から成っているという。ユーザーが発注する場合は、工程ごとに専門業者に発注する必要があり、複数社と図面や見積書をやり取りしなくてはいけない。このため、業界では納品まで1ヶ月以上はかかるのが普通のようだ。この点で協栄ホーニングは、最短で1週間という短納期に強みを持っている。

 渡辺社長は、「当社は豊富な材料を取り揃え、豊田工場と名古屋工場の2つの生産体制によりハイレベルな切削・研磨加工や硬質クロムメッキ加工を自社で行っています。材料手配から加工まで高品質な製品を社内一貫生産できるワンストップ型ということでわが国全体でも数少ない会社です。このため、注文をいただいて最短で1週間での納期が可能です。しかも、パイプ1本からでも切り売りする単品扱いが当社の特徴であり強さです」と強調される。

 渡辺良和社長は創業者の父(渡辺益良会長)の跡を継いだ2代目。20歳のときに早々と事業を受け継ぐことを決めた。現在は無借金経営を誇り、売上より1品1品、しっかりと良い製品を手がけることを一番に心がけているという。しかも、1品からの単品生産が中心で操業度はほとんど気にしていない。協栄ホーニングは、「残業はほとんどない」ということだ。日本のモノ作りを支える逞しいオンリーワン企業である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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